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残照 ~俳句と人生、老いの旅~  作者: 松涛/編集:山鳥はむ


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妻逝きぬ美しきまま夏の朝

平成二十三年六月



 初美がとうとう逝ってしまった。



 此処が終焉の地、「象の墓」と定めたのは、今から五年ほど前からのことになる。


 充分覚悟と心の準備が出来て居た筈なのだが、突然の出来事のように取り乱しうろたえた。



 平成二十三年六月二十六日、午前一時四十二分のことである。

 気分的には二十五日の夜中といいたい時間帯だった。



 事の発端は四月二十八日にトイレに行こうと立ち上がった時に転んで左上膊部骨折。絶対安静と診断された。


 五月九日に「第一さわらび」に入院。翌月六月十六日に国立医療センターに移り、緩和ケアに踏み切った。



 そして十日目の夜中、日付的には二十六日になる。


 亡くなる瞬間に、初美は一瞬肩を竦めた後、大きく胸を開いたと同時に逝った。



 こんな事を書いたのは、私自身、其の経緯を再認識して置きたいと思ったからだ。



   ◇◆◇◆◇◆


【病床の妻を詠む】



病床の妻西日差す窓見詰め



穏やかに周囲気遣い眠入りけん



緩和ケア若き介護師汗光る



口に氷夏掛けの妻ほほ笑みぬ



氷割り口移しにて妻の口



皆様の絆感謝と呟きつ



モルヒネの効覚めぬ間に一巡り



浜名湖は疎開水浴びした処



車窓より実家に実る割れ石榴


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