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残照 ~俳句と人生、老いの旅~  作者: 松涛/編集:山鳥はむ


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老いの路同行二人良夜かな

平成二十一年十一月



 ホームの生活は総て淋しく暗いばかりではない。気付いてみたら夫婦の会話は東京の頃の倍、三倍になっていた。



 生きている意味とか、死後の話をしている訳ではない。

 他愛ない世間話……とはいえ世間はむしろ狭くなっていたが話題には事欠かなかった。



 此処に入った当時の食事は、正直不味かった。

 関東と関西、いや三河の味付けなのだろうか。

 そっと台所のガス台を使って得意なレパートリー、「素麺」をうでて、二人で顔見合せ、頷き合って食べた。



 そして近所の寿司屋に送り迎え付きの夕食を食べに行く。

 そこでは寿司どころか親子丼やら、釣ったハゼまで料理してもらっている。

 多分この辺りでは我々二人は奇異な存在だったのたろう。



 やがて遠慮ない料理批評の結果か、この施設の料理が抜群に美味しくなった。でも、今夜もそっと、二人で和菓子を楽しもうと思っている。

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