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煌めきつジェット機渡り月残る
平成二十一年九月
この地にたどり着いたのは二〇〇九年の八月二十七日だった。
アジールと定めた場所を諦め豊橋に向かう途中、大磯プリンス、熱海、蒲郡プリンスを連泊した。
荷物の多さとこれからの生活に心は萎縮していた。
初美も同じ気分だったに違いない。もっと心細かったと思う。
一階を初美、私が二階と決めてそれぞれ手の届く範囲から片づけ始めた。余りに多い荷物に私は怯えた。
此処のスタッフたちが居なかったら……悶絶していたかもしれない。
その夜、此処……「はりはら荘」の表を出ると、満天の星空だった。東京の、しかも中央区佃では出会ったこともない夜が広がっていた。
動いている星があった。流星ではない。
やがて月の真下を煌めきつつ通り過ぎた。
そうかジェット機なのか。もうオレには縁がない……と思った。どうやら別の幕が切っておとされたと実感した。




