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竹薮を揺する音なり焼夷弾
平成二十一年三月
これも駄作だが、手の入れようがない。
あの音を思い出すと感覚が麻痺してしまう。
新しいセメントの匂いのする防空壕。
小さな大仏像を押し頂いてお念仏を唱えていた母。
デモわが家はキリスト教だったはずだが?
途切れ途切れの厳粛な声、「ヨコチンナカカンクジョウホウ、空襲警報発令!」知っている人がいたら教えてよ!
「横須賀鎮守府中部軍管区情報」だったっけ?
母のお念仏に唱和する私達。
天空を重いチエンを引摺るようなB―29のプロペラ音。
ズシンズシンは爆弾。
竹薮を揺する音がすると薪のように焼夷弾が落ちてくる。
外は阿鼻叫喚。日本帝国陸軍の高射砲の発射音。
一度だけマグレで当たり火に包まれた敵爆撃機。
皆で大拍手。
世界の景気を好転させるのは大消耗しかないそうだ。
それには即ち戦争が最適とか。
いずれ何処かでドンパチ始まるに違いない。
悲惨な戦時中のお話であるはずなのに、どこか楽しげに感じてしまう。
俳句も、藪から「ナンダナンダ?」と顔を出したら爆弾で吹っ飛ばされるような唐突感。
地獄の中にあっても、ユーモアの種は尽きないということか。
(山鳥はむ)




