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百合とても移ろい無残廃り捨て
平成二十年四月
「廃り」は「すたり」と読んで貰いたい。
薫り高き百合も時が過ぎると枯れ、花瓶の水は顔を背けるほど嫌な臭いに変わる。
我が家にはいつも百合が挿してある。
ワイフの好みであり、自分の葬儀は百合の香で満たしてもらいたいといっている。
何か変な話題に入ってしまったが続けていこう。
わたしが男として、いや、その仕切り方は好きではないのだが、要するに若かった頃。
毎日、空手の稽古に明け暮れて、疲れるということを知らなかった。恐らく元気溌剌としていたのではないだろうか。
ワイフだって、まるでカモシカのような四肢をして、頭脳明晰だった・・・と思う。
老人会に携わっていると、会員のスナップを写す。
しかし良いショットが撮れるとは限らない。
そのような時は密かに捨てている。
最近、ワイフの良い表情が撮れない。




