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残照 ~俳句と人生、老いの旅~  作者: 松涛/編集:山鳥はむ


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今は昔ふいご祭りの在りしこと

平成二十年三月



 ふいごとは「鞴」あるいは「煖」とも書く。


 古くから鍛冶屋、鋳物屋等、金偏に従事する者たちが金山神社を奉って、お神酒を捧げて祝った。


 川口は鋳物の町として名が知られていた。

 早船ちよ著「キューポラのある街」で有名だ。



 昭和三十年台では鋳物関係の工場が八百軒を越えていたが、昭和の末には十分の一以下の七十軒に激減した。

 これは崩壊であり、その後の減少振りには目を覆う。



 当時から三Kといわれ働き手は少なかった。

 加えて鋳物工業は基本的に下請けである。原価低減促進の格好のターゲットであり、働き手の給料は安い。



 一方、中国では一ヶ月の月給がただの一万円。

 其れでは勝てっこない。二十五分の一である。



 百年に一度か知らないが、この大不況の中で製造業の倒産、経営者の自殺が相次ぐことは断言できる。




 もはや鞴祭りの祝詞は聞こえてこない。

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