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残照 ~俳句と人生、老いの旅~  作者: 松涛/編集:山鳥はむ


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象の墓訪ねきし旅青嵐

平成十九年三月



 死期を悟った象はそっと群から離れ自らの墓場に向かうという。よろめきながら一歩一歩と歩み、やがて墓場に着く。

 そして四肢を折り、高々と鼻を上げて力尽きる。こんな死に方をしたい。



 この旅行は、最期の死に場所を見極める為のものだった。

 無論自殺する場所を探すためではない。

 私は老人介護「浮き輪の会」の理事長をしている。だから老々介護の末に行き着く悲劇を熟知しているつもりだ。



 最近、連れ合いが我侭なのか、本当にボケなのか見極めがつかず、互いの存在に苛立つことがある。愛情はおろか、互いの尊厳すら冒してしまう怖ろしさがある。



 看病を身内同士がやれたとしても、家族であるが故の期待と甘えが付いて廻る。この部分はプロに委ねよう。それが私達二人の結論となった。



 妻が入院するときは私も入る。

 しかし私には残務がある。どう折り合いを着けるか問題だ。



 象の墓場、というのは迷信で、俗説では密猟者による象の殺害現場のことだとか、情緒も何もないお話が巷には転がっております。しかし、そういった迷信はよそに置いて、ここで言いたい「象の墓」という概念を理解するのが粋というものでしょう。


 こんな添え書きを付けたくなってしまう自分は、不粋というやつなのでしょうが……。


(山鳥はむ)

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