23 白いしっぽとキジトラ君2
やいやい、白いの!
この間はよくもやってくれたな!
忘れたとは言わせねぇぞ。お前のせいでオイラの自慢の毛並みがぐちゃぐちゃになった怨み、ここではらしてやるぜ!
……おい。
何だその顔は。
きょとーんって間抜け面してんじゃねぇやい!
もしかして忘れたのか?…忘れたのか!?
ん?
お、おお。
何だよ、覚えてるじゃねぇか。
そうだよ、この間、ほら、ここでさ……っておい!
鼻でつつくなじゃれつくな!
何でしっぽ盛大に振ってんだよ!
…な、何だよその目は。
遊んでくれ光線出すんじゃねぇよ!
ばっ、お、オイラがお前と遊ぶわけねぇだろうが!
いいか?オイラとお前は宿命の「らいばる」ってやつなんだぞ。オイラの愛しの姐さんこと「黒の貴婦人」に手を出したお前と、馴れ合うわけないだろうが!
あ?黒真珠の君じゃなかったかだ?……麗しい姐さんに呼び名は一つじゃ足りねぇんだよ!だから首傾げんなって!
…ごほん。くそ、話がずれたぜ。
あー、いいか?わかったらオイラに近づくんじゃ……
……だ~か~ら~!
じゃれつくなって言ってんだろ!
さっきからしっぽ触ろうとすんじゃねぇよ!オイラのしっぽは猫じゃらしじゃねぇんだぞ。
ちょ、そんな目で見るなって。
かまって光線出すな!
お前は犬か?アホ犬か!?
犬神ならもうちょっとシャキっとしろ!
ったくもー、やる気が失せるぜ……ん?
あ、待てよ。
ふっふーん、いいこと思い付いたぜ。
お前、オイラと遊びたかったら、「三回回ってワン」ってしな。
だから、三回回ってワンって鳴けって言ってんだよ。
……ふっふっふ、どうだ!
屈辱だろう!できるわけなかろう!参ったか!
ま、お前が負けを認めるって言うんなら、遊んでやっても………
あ、うん、そうそう。
三回、回って、わおーん……って。
何だよそれはぁぁ!
三回連続バク宙とか嫌味か!?かっこいい回り方してんじゃねぇ!
しかも遠吠えとか無駄にしてんじゃねぇよ!かっこよすぎるだろうが!
ドヤ顔すんじゃねぇぇぇ!
くっそー、なめやがってこんちくしょう!
やっぱお前とは気があわねぇ!ここであったが百年目、今日こそ決着をつけてやるぜ!
いくぜ、おらぁぁぁぁ――
ぶ。
*****
今日もデッキの上で、キジトラの猫はじたばたと動いている。
ぱたぱたと楽しそうに揺れる白いしっぽに、私も楽しくなって頬が緩んだ。
「すっかり仲良くなったみたいですね、雪尾とあのキジトラ君」
「……そうですね」
窓の外を見ながらどこか遠い目をした高階君は、「やっぱ助けた方がいいのかな、あれ。でも楽しそうっちゃ楽しそうだし…雪尾さんが」と呟きながら、お盆を手にカウンターの方へと戻っていく。
届いたミルクティーを片手に、私は休日の午後を楽しむ。
ひらりひらりとご機嫌に舞う白いしっぽを眺めながら。
無邪気な雪尾に振り回されっぱなしのキジトラ君。




