第33話 北摂津統一
おれは、その後伊丹攻めを行った。
そのときの先陣はおれが陪臣から
直臣に引き上げたやつら。
ここで功名をあげれば元主君よりも高い身分にしてやるぞ!て発破をかけたら、奮戦してくれた。そして伊丹氏は滅亡。おれは北摂津30万石を治めることとなった。
南摂津は、本願寺の所領だが、大坂5万石は無理だとしても、天満、大和田10万石は山田家単独でおとせる。
天満、大和田をおとせば山田家は40万石を抑え、しかもここ摂津は浪人が多のでそれを吸収すれば1万5千の兵を動員できる。これは本願寺の僧兵と同数だ。 で、おれは居城を池田山に移し、高槻は右近に任せた。
大名か……
がんばるしかねえだろ。ここまできたら。
おれは政務として、まず呂宋に約束の猪名川を一任させた。で、楽市楽座の実施と関所廃止。信長の意向だからな。で、おれの馬廻りは農家、武家、商家の次男坊以下の希望者を選抜することにした。
家を継げないこいつらは死に物狂いで働くはずだからな。
……これも信長の真似ですけど
まあ、細かいところは、長盛に丸投げ。こいつ、怠けぐせがないかわりに向上心もない気がするんだよなあ。
ま、ぼやいてもしゃあない。
で、周りの動きは、いろいろあった。
この浅井、朝倉討伐の論功賞で、まず柴田さんが、朝廷より修理亮〈しゅりのすけ〉を賜り、柴田修理亮勝家として越前一国60万石を与えられた。与力として景鏡、利家、佐々さん、不破さんが与えられた。
で、丹羽さんが官位はもらってない、というか本人が拒否したらしんだけど、まあ、佐和山20万石を与えられた。
秀吉は、朝廷より筑前守の官位を賜って、名字も羽柴にかえた。で、羽柴筑前守秀吉として江北三群12万石を与えられた。今浜を長浜と改名し、城を築くらしい。
佐久間さんが、官位を拒否、で尾張庄内川以東15万石を与えられた。
で、大出世を果たしたのが光秀。
朝廷より日向守を賜り、明智日向守光秀として天下の要地坂本5万石、並びに信長不在時の京の政務を京都所司台の村井さんと一緒に執り、義昭公を補佐することになったんだって。
おれは、馬を貰った。ま、おれもこいつらと同じ大名だしー?悔しくない。いや、悔しい。
で、東だが、三河は家康が抑え、一向一揆を討伐し三河を掌握。しかも本多弥八郎正信が出奔しなかったらしい。で、遠江を侵食中。大井川同盟を結ぶのか気になる。
松永は加増なし。大事なことだからもう一度言う。松永は加増なし。
で、信長からというか義昭公からの出兵命令もないので、おれは政務をしたり、祐光の家にいって新婚ラブ甘な雰囲気をぶち壊したりして遊んでいた。
で、元亀元年が終わった。つまり今日は正月。
気づけばおれも23歳。成人式がないとはな。
今から二条城にいって年賀の挨拶。つまりパーティ。飲み会。
このパーティには直臣しか出席できないので、
祐光と慶次とおれしか北摂津勢はいけない。
「摂津守護、山田大隅守信勝にございます。
本年もよき年になりましよう宜しく申しあげ奉ります」
よくかまなかったよな。おれ。
「うむ。隅州。本年も宜しくな。では別室で酒宴の用意をしておる。ゆるりとくつろげ」
「はっ」
義昭公から言葉をうけて、別室にいく。
「けっ山田か」
「うわ、弾正かよ」
見たくもないものをみた。そう、ゴキブリみたいな感じ?
で、なんとおれの席順は弾正より上。筆頭家老の位置にまだ来てないが信長。で次席にニート一色。そのしたに細川さん。そのしたに光秀。そのしたにおれ。そのしたに京極さん、そのしたに和田さん、そのしたに弾正。プッ。
「お、音に聞こえた弾正より上席だわー。音に聞こえた弾正よりー」
おれは煽ってみる。
「へっ。悪党の順でいきゃあ、おれが将軍の座だな」
「まあ、そうだろね」
ちっ……うまく返されたか。
◇
信長がきて酒宴が始まった。ワイワイ騒ぐ。
「日州殿」
「おお、隅州殿、なんですか?」
「坂本城主、おめでとうございまする」
光秀を祝ってみる。
「ハハハ、ありがとうございまする。隅州殿も北摂津統一おめでとうございまする」
「いや、摂津守護としては南摂津も平定しなければなりませぬので」
ハハハと光秀は笑い、酒を飲む。
「なれど」
なんだ?光秀?
「まだまだこれからでございまするな」
遠くを見ている感じの光秀は笑っていなかった。
……?天下統一はまだまだということか?
それとも、自分はまだまだ上にいくということか?
本能寺ねえ……
はあ、正月から考え事させるなよな。




