顔合わせ(中編)
簡単な構成員の紹介が終わり、商業ギルドのロイが、計画の説明を始めた。
「まず、馬車だが、ぬいぐるみと商業ギルドの職員を乗せる一頭引きが一台。
エリオット様が乗る馬車が一台。
商隊用の二頭引き馬車が一台。護衛は交代制で、休憩中の者はこっちに乗ってもらう。
それから、馬の飼料などの一頭引きが一台の予定です。
これでよろしいでしょうか」
騎士トゥランが挙手をした。
「整備された街道を行くので、馬の世話をする施設も期待できます。
飼料は昼用と予備の分だけでいいので、商隊用の馬車に乗せていただけないでしょうか。
馬車の数は少ない方が護衛しやすい」
冒険者のダルグが腕組みをした。
「それも一理あるが、その飼い葉に変な混ぜ物をして足止めされるかもしれないぞ」
トゥランはAランクパーティーの魔法使いを見た。
「そちら、解析で有名なオルド氏ですよね。馬にやる前にチェックしていただければ、と思うのですが?
そうでなければ、商業ギルドの案に賛成します」
魔法使いオルドが髪をかきあげた。
「ご指摘の通り、解析や付与で名を馳せていますからね。仕方ない。やりましょう」
彼の自信に、なんだか心強いとホッと空気が流れた。
騎士がすごい情報通だ。
そして、Aランクパーティーの能力がすごい。
「この流れでは言いにくいのですが、私は護送車を一台用意することを提案します。
領主様か冒険者ギルドから出していただくことは可能でしょうか」
雪豹獣人のラティーアが問いかけた。
ロイは一瞬口を尖らせて、質問に質問を返した。
「失礼ですが、なぜ護送車を?」
「途中で襲われたときに、賊を捕縛しますでしょう?
通常なら地元の警備担当に引き渡しますが、領主やその町の有力者が黒幕だった場合、そのまま無罪放免にされてしまいます。
それどころか、こちらが暴行罪に問われる危険も考えられます。
護送車にぶち込んで、王都まで連行した方がいいと思うのです」
「その場合の食費は、商業ギルド持ちでしょうかね?」
ロイは会計のことを気にしている。
そんなに大勢で襲ってくると考えているのか? 怖いなぁ。
「いえ、最長で五日です。水さえ与えていれば、死にませんよ」
ラティーアは優雅に微笑んだ。この人も、すごいことをさらっと言ってるぞ。
「では、持ち帰って領主に相談します。領主の護送車なら、賊が仲間を奪還するために襲うのをためらうかもしれませんし」
トゥランも護送車の案に賛成しているようだ。
「他にご意見は?」
と、ロイが会議室を見回す。
「宿泊地まで先行して宿の手配をするのは、領主様ご一行に任せていいのか?」
ダルグが発言した。
「二十名を超えるので、領主団と商業隊で分宿となるだろう。
それぞれから一名ずつ出すのがいいと思うが、どうだろうか」
トゥランが答えた。
「ああ、じゃあいつもと同じだね。冒険者と商業ギルドで、一日交替でやろうか」
ダークエルフがロイを見た。
「いえ、申し訳ないのですが、今回のメンバーは普段は内勤の者なのです。
外部と交渉する者なら手際よくできるのですが、いささか荷が重いかと」
ロイの答えに、ダークエルフが「りょーかい」と軽く返す。
「それから、我々領主軍は、襲撃があった場合、半数がエリオット様の護衛に回ります。
半分を討伐に回す予定ですが、それでよろしいか?」
トゥランとダルグは互いの表情を探るように、しばし視線を交わした。
「ああ、まあ、そうだろうな」
そう言ってダルグはふいと視線を外し、こちらに話を振ってきた。
「おい、花猫風月。お前らも何か言っとくことあんだろ」
「え、何?」
ルナが「なんだっけ?」と俺たちを見る。
サァラは首をかしげ、フォンは首を横に振る。
え、ほんと……何かあったか?




