スキル「下ごしらえ」
この世界では十歳になると教会へ行く。
そこで、スキルというものが与えられるのだ。
それは、適職だったり向いている方向だったりするわけだが、俺のスキルは「下ごしらえ」だった。
「……え?」
思わず聞き返してしまう。
幼なじみのガルドは「剣士」だったのに?
街に出て、冒険者になろうと誓ったのに。
俺は「下ごしらえ」?
あの、料理とかの、下ごしらえ?
神様、あんまりです!
……かっこ悪い。
ガルドと顔を合わせられない。
父さんと母さんは、危険な仕事ではないことを喜んでいる。
料理人や建築関係がいいのではないかと話していた。
俺は、冒険者になりたいんだ!
そう思った瞬間、頭の中にやることが浮かんできた。
十二歳でガルドが街に出るとき、俺も一緒に行けばいい。
それまで、村の宿屋で下働きの見習いをして、料理や効率的な旅支度を身につけ、宿泊客から各地の情報を得て……街の食堂で修行をすると言って、冒険者ギルドに登録すればいいんだ。
……なるほど。これが「下ごしらえ」か。




