第六十一話 「"剣竜"の掟」
──同時刻、蛇国"剣竜"の里。
"剣竜"の一人である劉士元は"剣竜"の里に戻り、里の長に会いに行った。
「……久し振りだな、飛燕。」
数本の蝋燭の灯りしか無い薄暗い屋敷の中で、劉飛燕は大勢の"剣竜"達の前で王の様に玉座に座っていた。
──劉飛燕。
この"剣竜"の里の長、"剣竜"一族の総帥である。この飛燕の下には総勢百二十六人もの"剣竜"が居り、その一人一人が皆"剣竜"の名に恥じない暗殺者達である。
そんな"剣竜"の里には、ある掟があった。……それは、"剣竜"の総帥に選ばれるのは、常に"剣竜"最強の剣士である事。
……つまり劉飛燕は、全"剣竜"最強の筆頭剣士であり、劉士元をも超える化け物と言う事になる。
「久しいな、士元。二年前、この俺に敗れて里を出て行って以来か……。少しは、腕を上げたのだろうな?」
「…………。」
「……それで?一度里を抜けたお前が再び、この"剣竜"の里に戻ってきた理由は何だ?この俺に、決闘でも挑みに来たのか?」
「そうではない。……いや、それもあるのかも知れんな。」
「悪いが、俺は貴様の相手をしている暇は無い。それに俺は掟を破り、里を抜けた貴様を粛清せねばならぬ立場なのだ。」
──ザザザッ。
瞬く間に十数人の"剣竜"達が、士元の周りを囲む。
「……。」
「フフフ……。とまあ本来であれば、お前を斬らねばならぬ所なのだが……。俺も鬼ではない。士元、お前に"剣竜"へ復帰する機会を与えてやろう。」
「……条件を聞こう。」
「"剣竜"達は今、蛇国に手を貸していてな……。次の戦いに参加するだけで良い、それでお前が里を抜けた事を許してやろう。」
「蛇国だと!?」
「そうだ、"剣竜"等の次なる標的は翔国。我等"剣竜"総勢百二十七名、全てを以て翔国を殲滅する。ククク……。葉国同様、翔国は一夜にして壊滅する事となる。」
それを聞いて士元の表情は固まり、その場の空気が一変する。……そして士元は鋭い目付きで飛燕を睨み付けた。
「……俺が、断ると言ったら?」
「ククク……。構わん、殺れ!」
飛燕の言葉と共に、十数人の"剣竜"達が一斉に士元目掛けて襲いかかる。
……士元は静かに目を閉じ、そして二本の剣に手を掛けた。
「……不味いな。」
翌朝。公孫翔は一人、城壁の上に立ち外を見ながら、そう呟く。
ここ翔国城に、蛇国の大軍が迫っていたのである。
いや正確には、蛇国軍は一万と数自体は少ないのだが……。公孫翔は、この危機的状況を如何に切り抜けようかと頭を悩ませていた。
確かに蛇国軍は一万と、こちらの軍と大差は無い。……だが、その先頭に立つ異様な殺気を放つ化け物の存在に、公孫翔は気が付いていた。
──あれは、"剣竜"なのだと。
恐ろしい殺気を放つ二十人の"剣竜"を前に、公孫翔は只笑う事しか出来なかった。
「ははは……。参ったな。」
──ダダダダダダ。
階段から、大勢の兵達が駆け上がってくる。
「俺達も戦うぜ、翔!」
「俺達も戦います、翔王様!!」
「お前ら……。」
公孫翔は部下達には、下に残る様に伝えていた。あの"剣竜"の前では、並の剣士では相手にならないからである。
だが元朧の団の人間だけでなく、城に残る一万の兵全てが公孫翔を守る為、そして翔国を守る為に城壁の上へと上がっていた。
「逃げても良いんだぞ、お前ら……。」
相手は"剣竜"なのだ。逃げる方が賢明なのだろう。……そして、それと同時に"剣竜"と戦う事の方が愚策とも言える。
「相手は蛇国なんだ。降伏したら、また前の様な国に逆戻りだからな……。命くらい張るさ。」
「…………。」
公孫翔は仲間達の熱い言葉を聞いて、下を向き俯く。
「……そうか。」
仲間の意志に答える為に、公孫翔は真っ直ぐに仲間達を見つめ戦う覚悟を決めた。
「なら、戦るか!」
「オオオオオオオオオオオオ!!」
──ザシュ!
突如襲いくる、最強の暗殺者一族"剣竜"。その化け物達は高い絶壁を平然と駆け上がり、難なく城壁を飛び越えてくる。
──ザシュ!ザシュウ!!
襲いかかる"剣竜"の前に、為す術も無く散っていく大勢の仲間達……。
公孫翔は、最初から分かっていたのだ……。一般の兵士では、あの化け物の相手にすらならない事を。
その恐ろしい姿に兵士達は皆、恐怖に足が竦み動く事が出来なくなっていた。
──ガキィン!
仲間を助ける為、"剣竜"の刃を必死に防ぐ公孫翔。
「翔王様!!」
その言葉に、"剣竜"達の動きが一斉に止まる。
「…………。」
……そして、その視線は全て公孫翔の姿を捉えていた。
「……不味いな。」
「貴様が翔王か……。ならば、こいつを殺れば終わると言う訳だな。」
"剣竜"達は剣を構え、公孫翔の首に狙いを付けた。
──ドシュ!
高速の刃が公孫翔に襲いかかる。何とか辛うじて、その一撃を防ぐ公孫翔だが……。公孫翔は肩を斬られ、その場に跪き、斬られた傷口に手を当てながら苦痛に顔を歪ませていた。
「……がはっ!」
敵う筈が無かった……。相手はあの、伝説の暗殺者一族"剣竜"なのだ。"剣竜"の恐ろしさは、公孫翔も良く知っていた。
……そんな恐ろしい化け物が二十人も居る蛇国軍に、公孫翔達は最初から勝ち目が無かったのである。
「死ね!」
"剣竜"の刃が公孫翔の首を捉える。……最早、公孫翔にはその刃に対応する事は敵わなかった。
──ザシュ!
"剣竜"の刃に斬り裂かれ、その首は吹き飛んだ。
「…………。」
その光景に、その場に居る全員が言葉を失っていた。……そして、その"剣竜"の恐るべき強さに驚愕していた。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




