第六十話 「抗〈あらが〉う仲間(もの)達」
正直な所、今この隊の中で"剣竜"の様な化け物とまともに殺り合えるのは、黄牙一人だけなのだろう。
"天覇十傑"の一人、厳狼将軍を討ち取った黄牙なら……。
──しかし。
「……くっ。」
苦戦する黄牙。……無理もない、相手はあの伝説の化け物"剣竜"なのである。ましてや、その化け物が十人も居るのだ。
幾ら黄牙が"天覇十傑"の一人、厳狼将軍を倒す猛者と言えど、到底黄牙一人で戦える筈が無かった。
必死で逃走を図る優駿達。参謀である司馬晋は味方の兵達を先程の砦に誘導し、急いで守りを固める。
……これで"剣竜"は兎も角、少なくとも追ってくる三万の蛇国兵には対応出来る事だろう。
砦の中に入り、一旦は難を逃れたものの、既に満身創痍の優駿達。
この軍の総大将である優駿の判断が誤った所為で、優駿達は多くの仲間を失ってしまったのである。
司馬晋と黄牙の二人が居なければ、全滅させられていたのかも知れない。
……優駿は思い知らされた。
"天覇十傑"最強の三人"三英傑"の一人、李葉を破った化け物の正体を知り怯える優駿。
蛇国は"三英傑"の一人、李葉を上回る真の化け物、大陸最強の暗殺者一族"剣竜"を味方に付けていたのである。
優駿は思い出していた……。討伐軍との戦いの時、"剣竜"の一人である劉士元が"天覇十傑"の一人、臥龍将軍を圧倒し一方的に斬り裂く凄まじい強さを……。
それは言うなれば、蛇国には"天覇十傑"をも超える化け物が十人も存在すると言う事なのだ。
「勝てる筈が無いよ……。」
優駿は、その恐ろしさに絶望するしか無かった。
「やっぱり僕なんかが総大将なんて、最初から無理があったんだ……。」
そう考え、一人落ち込む優駿。
──だが刹那達幹部は、誰一人諦めてはいなかった。
「今の所、追っ手は来てねーみてぇだな。」
夕暮れの中、一人城壁の上に立ち。蛇国軍が迫って来ていないのかと、辺りを確認する刹那。
「負傷兵の数が多い……。まともに戦える兵の数は五千程度ですね。」
負傷兵の数と、まだ無傷な兵の数を数え、軍の状況把握をする士龍。
「……うーん。城壁と門は、大丈夫そうだね。……これなら戦えるかな?」
砦の状態を確認し、戦える兵の手配を済ませ、既に次の戦いに向けて戦闘体勢を整えている司馬晋。
「急げ、蛇国はいつ襲ってくるのか分からないからな。」
門と城壁の上に兵を集め、守りを固める張翼。
「…………。」
何も言わずに、只落ち込む優駿の傍に居る黄牙。
この様な絶望的な状況にも希望を見出し、戦う姿勢を見せる仲間達に優駿は気が付く。
……この到底勝てるとも思えない戦いに、決して諦めず勇敢に立ち向かい、そして抗う仲間達の姿に優駿は立ち上がる。
「そうだ、総大将の僕が落ち込んでたら駄目だ!」
……しかし、あの様な恐ろしい化け物達と一体どうやって戦えばいいのだろうか?
そう悩む優駿だが、考えている時間は無い。何か対策を講じないと、このままでは敗北は免れない。
蛇国を倒す為……。いや、蛇国を倒すのは自らの運命なのだと優駿は走り出した。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




