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十国伝   作者: 魔神
翔国編

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33/36

第三十三話 「それぞれの目標」

「おかえりなさい、どうだったんですか?」

公孫翔が戻り、出迎える優駿。

「まずまずだな。俺が居ない間に、何か変わった事はあったか?」


「……え?いや、特に何も無かったかなぁ。あ、そう言えば刹那が探してた様な気が……。」

「ああ、あの件か。すまないが、部屋まで呼んできてくれるか?」

「分かりました。」


「よう、連れてきたぜ!こいつらだ。」

バン!と勢い良く扉を開け放ち、自信満々の表情で部屋に入ってくる刹那とその一行。

公孫翔が先日、刹那に頼んで置いた一件である。公孫翔は、次の戦いに腕の立つ者を二、三人集める様に刹那に指示を出していた。


「俺の剣を一度でも受け止める事が出来たのは、この二人だけだったぜ。」

「……名を聞こうか。」


「俺の名前は士龍(しりゅう)です、よろしくお願いします。」

「僕の名前は、司馬晋(しばしん)だよ。……よろしく。」


「良い面構(つらがま)えだ。こちらこそ、よろしく頼む。お前達三人は、次の戦いで三百人程の隊を率いてもらう。残り五日と短い間だが、俺の元でしっかりと戦い方を学んでくれ。」

「おお三百かよ、任せとけって!」

刹那は意気揚々と返事を返す。


五日後には、国が大軍を率いてやって来る。朧の団と討伐軍による、これまで以上に熾烈(しれつ)な戦だと予想出来るだろう。

その時に軍を率いてくるのは勿論"天覇十傑"の一人、厳狼将軍である。


公孫翔達、朧の団は次の決戦に備え準備を行っていた。


「悪いな……。当分帰れそうに、なくなっちまった。」

刹那は故郷の村の空を眺めながら、少し寂しそうに(つぶや)いていた。村の人達の様な悲劇を繰り返さない為にも、刹那は戦う覚悟を決める。……そして誓ったのだ、誰もが驚く天下最強の剣士になってやると。

刹那が故郷の村に帰るのは、きっとその後になるに違いない。


「皆の仇は、俺が討つよ……。それまで、もう少しだけ待って居てくれ。」

悲壮感(ひそうかん)(ただよ)う寂しい目付きで槍を手に、激しく鍛練に励む一人の青年、士龍。

彼は故郷も、家族も友人も全て領主に奪われ亡くしていた。(いわ)れ無き罪で捕らわれ、命を失った家族や仲間達。

士龍はこの東の領土よりも、更に貧しい南の地域から朧の団に参加していた。

士龍にとって今回の志願兵は、(まさ)に天命だったと言えるだろう。


「世の中には、こんなに凄い人が居るんだね。」

司馬晋は(ただ)たんに、公孫翔と言う存在に憧れて朧の団に入団していた。

たった二百人程度と言う寡兵で、一万二千もの討伐軍を打ち破る朧の団の姿に。……悪に(あらが)い立ち向かう公孫翔の姿に、心酔(しんすい)し入団を決意した。それは司馬晋の過酷な生い立ちの所為(せい)、もあるのかも知れない。


「明日か……。」

「……ああ。」

二人で夕陽を眺める公孫翔と黄牙。……公孫翔には夢があった。幼い頃親を亡くし、兄妹二人できり育ってきた公孫翔。

例えどんなに頭が切れると言っても、まだ十に満たない子供達がまともな生活を送れる筈が無い。住む家が無く、食べる物さえ無く。……時には、一週間も何も口に出来ない事もあった。それに何かあった時に、力の無い子供では到底大人達に(かな)う筈が無い。公孫翔一人の力では、たった一人の妹を守る事も厳しかった事だろう。

……もし黄牙に出会う事が出来なかったら、今頃何処(いまごろどこ)かで野垂(のた)れ死にしていたか可能性もあった。

公孫翔にとって黄牙は友では無く、兄弟の様な存在なのかも知れない。


公孫翔よりも体格に恵まれていた黄牙は、どんな相手にも負けなかった。……その強さに時には大人達でさえも、恐れる強さを持つ黄牙。

そんな黄牙にとって、公孫翔達兄妹とは"守るべき存在"だった。

ある日公孫翔は、黄牙に朧の団に入ろうと言い出す。……一体何故、と意味が理解出来ない公孫翔の行動を。黄牙は当初、不思議に感じていた。

……しかし公孫翔は瞬く間にその頭角を現し、朧の団の頭目にまで登り詰め、天才的な軍略で討伐隊をも退ける様になっていた。

そして遂には打倒翔国を掲げ明日、討伐軍と雌雄を決するまでに至る。

勿論、その功績は黄牙の実力による物が大きいえるのかも知れない。……だが、黄牙は思う。


──公孫翔なら、この翔国だけで無く十国全てを統一する王になれると。


……黄牙は、そう信じていた。


「…………。」

優駿は、その夜。なかなか眠れないで居た。……明日の戦いを勝てば、優駿の世界が変わる事になるだろう。

優駿は今まで、(みずか)らの夢を諦めていた。いや、正しくはその夢を見る事すら叶わなかったのだ。

……しかし、今は違う。

"天覇十傑"の将軍が率いる討伐軍に、本当に勝つ事が出来るのなら……。

(かたき)である蛇国(じゃこく)への復讐も叶うのでは無いだろうか?


……優駿は遠い日に見た目標(ゆめ)を思いだし、(つか)の間の眠りに()いた。

武将紹介

優駿(ゆうしゅん)

武力 45

知力 85

主人公 オーラがあまり無い。


一応これでも主人公。

亡き国、優国の王子。

生き別れの妹を探している。

祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。

頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。

こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。


刹那(せつな)

武力 89

知力 54

髪型 95 かなり気合い入れてる。


村の自警団の一員。

剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。

でも頭の方は、お察し。

綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。


公孫翔(こうそんしょう)

武力 92

知力 99

髪型 98 美容院通ってるの!?


(おぼろ)の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。


黄牙(こうが)

武力 96

知力 77

自称 最強剣士。


公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。


劉士元(りゅうしげん)

武力 97

知力 67

暗殺 最強の一族


大陸最強の暗殺者一族、"剣竜(けんりゅう)"。


臥龍(がりゅう)

武力 96

知力 68

体格 98


"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。


張翼(ちょうよく)

武力 94

知力 87

自分 大好き


翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。


青辛(せいしん)

武力 74

知力 92

糸目 では無い。目を閉じているだけ。


知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。


呉頭(ごず)

武力 85

知力 38

悪行(カルマ) 96


大陸最大の盗賊団、月影団(げつえいだん)の頭目。朧の団以外で唯一、討伐隊を退ける程の武闘派集団の親玉である。かなりの怪力の持ち主。かなり悪事を働いているが、領主程嫌われてはいない。


士龍(しりゅう)

武力 84

知力 58

努力 家


志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。


司馬晋(しばしん)

武力 78

知力 89

糸目 開眼しないタイプの糸目。


掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。

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― 新着の感想 ―
刹那も…公孫翔と黄牙も。そして優駿も。それぞれに思いを胸にしているんですね。 新たな志願兵の士龍は槍の使い手!趙雲みたいなイメージですね♪司馬晋は賢いから軍師タイプかな〜(*^^*)
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