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十国伝   作者: 魔神
翔国編

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第三十話 「敗因」

「……なんだと?」

「そいつは"剣竜"だ。名前くらい聞いた事あるだろ?先の大戦を終わらせた、伝説の暗殺者一族"剣竜"。その武は、万の軍勢に匹敵するとな。」


公孫翔の言葉に青辛将軍は、わなわなと震え出した。

「ふざけるな!こちらにはまだ、一万の兵が居るのだ。貴様らの敗けが、変わる事など無い!殺れ!!」

「ははっ!」

青辛将軍は怒りに震え、部下達に"剣竜"を一斉に仕止める様に指示を出す。


──ザシュ!

「なっ!?」

その異様な光景を目にした討伐兵は皆、(みずか)ら目を疑い驚愕し震え上がった。

それは一瞬だった。……そして、圧倒的な強さだった。"剣竜"を仕止めに向かった筈の討伐兵二百は、一瞬で斬り裂かれ(ただ)の肉片と化した。

怯える討伐兵の中、何事も無かったかの様に悠然と歩みを進める"剣竜"。

──すたすたすた。


「ば、馬鹿な。……この様な化け物が、居る筈が。」

「ひいぃぃ。」

討伐兵達は皆、恐怖で動けないでいた。青辛将軍も又、"剣竜"の放つ鋭い眼光に怯え動けずにいた。


──ダッ。

"剣竜"劉士元は駆け出し、瞬時に距離を詰める。

「奴を止めろ!」

青辛将軍は部下に命じ、"剣竜"を止める様に指示を出す。

──ザシュ!

しかし数名の兵士が士元の前に立ちはだかるのだが、数人程度で止める事の出来る"剣竜"ではなかった。

──ヒュッ!!

士元は青辛将軍の前に一瞬で移動し、刀の(つか)で当て身を喰らわす。

「ぐはっ。馬鹿なっ……。」

青辛将軍は胸の辺りを押さえながら、どさりとその場に崩れ落ちた。


──カチャリ。

「終わったぞ、翔。……このまま、首を刎ねていいのか?」

青辛将軍の喉元(のどもと)に剣を突き付けながら、士元はそう尋ねる。

「……すまんが、生け捕りで頼む。」


討伐軍の指揮官である青辛将軍が捕らえられ、討伐兵達は散り()りに逃げ出して行った。

「……殺せ。」

青辛将軍は、近付いてきた公孫翔の顔を睨み付けながらそう言い放つ。

「…………。」


「俺は貴様に敗けたのでは無い。……決して、知略勝負に敗れた訳では無い!俺は、そこに居る化け物に敗れたのだ!知略勝負では、この俺の方が遥かに勝っていた!!」


知略では自分の方が上であったと、憤りを見せる青辛将軍。


……確かに。優駿はこの戦いを振り返り、確かにそうかも知れないと、青辛将軍の知略の凄さを認めた。

青辛将軍は公孫翔の放つ策を逆手に取り、朧の団は絶望的な程追い詰められていたのである。……"剣竜"の存在が無ければ、敗けていたのは朧の団の方かも知れない。


「……確かに、その通りかも知れん。」

公孫翔も、同じ考えだったのだろうか?公孫翔は捕らた青辛将軍に向かって、そう話し掛けた。


「だがな討伐軍(おまえたち)はこの戦いで、"天覇十傑"の二大将軍を一人も出して来なかった。討伐軍(おまえたち)は、俺に勝てる唯一の勝機を(のが)したんだ。……お前達は、俺を舐めすぎた。」


……この戦いに置ける討伐軍の敗因は、(まさ)にそれだろう。反乱軍である朧の団を(あなど)り、"天覇十傑"の二大将軍を出し惜しみをした事。

……勝敗は、その時に決していたのである。


「……くっ。もういい、さっさと殺せ。」

怒りを(あらわ)にする青辛将軍の姿を見て、公孫翔は部下に指示を出す。

「……放してやれ。」

「なっ!?」

縄を解かれ、自由の身になった事に戸惑いを感じる青辛将軍。

「……これは一体、何の真似だ?」


「俺達にも計画がある、今お前に死なれては困るんだよ。」

公孫翔はニヤリと笑い、そう言った。

「……必ず、後悔する事になるぞ。」

「そうか、それは楽しみだ。」


青辛将軍は解放され、優駿達は領主邸への帰路に着いた。その帰り道の途中、優駿は青辛将軍を解放した事に疑問を感じていた。


「あの……。どうして、青辛将軍を解放したんですか?……次はもっと知略を駆使して、勝負に挑んでくるに違いない。今回の敗戦を通じて、更に念密に計画を立てて罠を仕掛けてくるよ。そして"天覇十傑"の存在。その二大将軍だけでも厳しいのに、三人の将軍が揃うような事になれば、今度こそ勝てないかも知れない。やっぱり捕らえたままにして置くか殺した方が、次の戦いは大分違ってくるんじゃないですか?」


「……そうかもな。」

返事は、それだけだった。沈む夕陽を眺め……。公孫翔はそれ以降、何も話す事は無かった。

「…………。」

……優駿もまた何も言わず、(ただ)黙ってそれ以上言及する事はしなかった。

武将紹介

優駿(ゆうしゅん)

武力 45

知力 78

主人公 オーラがあまり無い。


一応これでも主人公。

亡き国、優国の王子。

生き別れの妹を探している。

祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。

頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。

こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。


刹那(せつな)

武力 89

知力 54

髪型 95 かなり気合い入れてる。


村の自警団の一員。

剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。

でも頭の方は、お察し。

綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。


公孫翔(こうそんしょう)

武力 92

知力 99

髪型 98 美容院通ってるの!?


(おぼろ)の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。


黄牙(こうが)

武力 96

知力 77

自称 最強剣士。


公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。


劉士元(りゅうしげん)

武力 97

知力 67

暗殺 最強の一族


大陸最強の暗殺者一族、"剣竜(けんりゅう)"。


臥龍(がりゅう)

武力 96

知力 68

体格 98


"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。


張翼(ちょうよく)

武力 94

知力 87

自分 大好き


翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。


青辛(せいしん)

武力 74

知力 92

糸目 では無い。目を閉じているだけ。


知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。

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― 新着の感想 ―
公孫翔は舐めてかかってきてることも折り込み済みで、勝利を確信してたのですかね〜♪それなら凄すぎる! 青辛を逃がしたのは、わざとこちらの強さを知らしめるためですかね…?
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