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十国伝   作者: 魔神
翔国編

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第二十七話 「優劣」

──ドドドドドドド!

隊を二手に分け、山中を駆ける朧の団。朧の団を率いる公孫翔は馬の足を止め、後方の討伐軍の動きに注視する。

「優駿。どうやら奴等は、この俺の策に乗ってきた様だな。」


「…………。」

公孫翔は勝つ気でいる。余程、自分の策に自信があるのだろう。

……そんな公孫翔の姿に、優駿は一抹の不安を感じていた。確かに公孫翔の知略は優れているのかも知れない。公孫翔の元で軍略を学んでいる優駿は、その事をよく理解していた。

公孫翔の計算通りに事が運ぶのなら、この戦いは朧の団の勝利に終わるだろう。

……しかし、それはあくまで公孫翔の知略が、青辛将軍の知略を上回っていた場合である。

もし、青辛将軍の知略の方が上回っている様な事があれば……。

──その時は。

「…………。」

──────────。


「青辛将軍。反乱軍やつらは先程と同様、隊を半分に分け逃亡しております。何方どちらを追いますか?」

「……問題無い。こちらも同様、六千の軍を半分の三千に分けて奴等やつらを追え。」

「はっ!」


隊を分け、山中を駆ける朧の団。朧の団はその数を二百五十から百二十五へ、百二十五から六十二へと隊を分け。そしてそこから更に三十一へと数を減らし、討伐軍を撹乱(かくらん)させた。


青辛将軍は、朧の団の策を見破った上でえて策に乗じ。同じく軍を半分に分け、討伐軍はその数を千五百にまで減らしていた。

「…………。」

山中を馬で走らせながら、後ろを振り向き追ってくる討伐軍の様子を(うかが)う優駿。

……事が、上手く運び過ぎている!?と、やはり優駿の頭に少しの不安が(よぎ)る。


公孫翔の策略に、青辛将軍が見事に()まったのか?それとも、こちらが罠に()められているのか。

……優駿の中に、その答えは出なかった。


──そして、優駿の不安は的中する。


「……追い詰めたぞ。」

青辛将軍率いる討伐軍、千五百に囲まれる朧の団十六名。朧の団は隊を十六に分けた為、総勢千五百にたった十六人と言う寡兵で囲まれる形となる。

追い込まれてしまう、優駿達。この不味い状況に優駿の(ひたい)からは、嫌な汗が止まらなかった。


──"千五百"対"十六"。

約百倍と言う戦力差の前に、優駿はがくがくと肩を震わせていた。

それにもう一つ、千五百の軍を率いているのは青辛将軍なのである。……これは、たまたま偶然なのだろうか?

優駿は、これを偶然だと思いたかった。もし、これが偶然で無いとしたら……。それは青辛将軍が朧の団の頭目である公孫翔が、ここに居ると完璧に見抜いていた事になるのだ。


……その考えが頭を過り、優駿はぞっとする。もしそれだけの知略を操る青辛将軍なのだとしたら、幾ら公孫翔でも勝てる筈が無い。

……この追い込まれた状況で、優駿は絶望し恐怖に怯える事しか出来なかった。


「安心しろ優駿、俺達が居るんだ。……負ける筈が無いだろ?ここは俺達に、任せておけ。」

恐怖に怯え、がたがたと肩を震わせている優駿に。刹那は安心させる為に肩にぽんと手を乗せ、そして力強く声を掛ける。


「……そう言う事だ。俺の首を取りたければ、"天覇十傑"でも連れてこい。」

意気揚々と剣を構える、刹那と黄牙二名。

「一人で五百人、()ればいいだけの話だ。……楽勝だろ?」


……優駿は驚愕し、震えていた。

この絶望的に追い込まれている状況の中でも、まだこの三人は勝つ気で居るのだと。……まだ希望を捨てるのは早いのだと、優駿はその身を震わせていた。


「あー、だが五百はちょっとキツイかもな。二百程度なら、楽勝なんだがな……。」

そう言いながら、刹那は痛む脇腹(わきばら)を手で押さえる。

「はは……。」

……優駿は笑っていた。この三人はこんな状況でも諦めず、まだ勝つ気で居るのだ。……ならば優駿も同じく最後まで諦めず、勝利を信じ刹那達を応援すると心に決めた。

()るぞ!」

「……おおよ!!」


そんな優駿達の姿を、青辛将軍は冷ややかな目で崖の上から見下ろしていた。

「無駄な足掻きを……。殺れ!」

青辛将軍の合図により、討伐軍の突撃が開始する。

──"千五百"対"十六"。

……刹那達の絶望的な戦いが、今始まった。

武将紹介

「優駿」

武力 45

知力 78

主人公 オーラがあまり無い。


一応これでも主人公。

亡き国、優国の王子。

生き別れの妹を探している。

祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。

頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。

こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。


「刹那」

武力 89

知力 54

髪型 95 かなり気合い入れてる。


村の自警団の一員。

剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。

でも頭の方は、お察し。

綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。


「公孫翔」

武力 92

知力 99

髪型 98 美容院通ってるの!?


朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。


「黄牙」

武力 96

知力 77

自称 最強剣士。


公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。


「劉士元」

武力 97

知力 67

暗殺 最強の一族


大陸最強の暗殺者一族、剣竜。


「臥龍」

武力 96

知力 68

体格 98


"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。


「張翼」

武力 94

知力 87

自分 大好き


翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。


「青辛」

武力 知略型なので低め

知力 翔国一らしい

糸目 では無い。目を閉じているだけ。


知将。その知略は翔国一と称される人物。翔国の軍略を一手に取り仕切っている将軍である。二大将軍に隠れがちだが、非常に優秀な将軍と言える。

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― 新着の感想 ―
大ピンチですね。でも、公孫翔の勝つつもりでいる。何か秘策はあるのか? 優駿も震え上がるのも無理ないですよ。16人は少なすぎる! 分からない!このピンチをどう乗り切るのか予想できない。
おぉっ!さらに分ける作戦当たりました♪ でも…約100倍の相手にどう戦うのか!
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