第二十三話 「評価」
「……え?見落とし?」
「……そうだ。色々あるが、大きく分けて二つだな。一つ目は人数だ。朧の団は常に二百と言う訳ではない、当然だが人数は増える事があれば減る事もある。そして二つ目は国だ。……優駿、お前は領主と戦う前に何をした?お前達は、たった二人で戦っていた訳ではあるまい。」
「……あ。」
優駿は先日の領主邸襲撃の一件と、その内容を公孫翔に説明した事を思い出していた。……そして、公孫翔の言葉の意味を理解する。
「そうか……。」
その可能性を見落としていた事に気が付き、自分の愚かさ加減に呆れる優駿。
確かに、作戦は失敗に終わったかも知れない。だが街の人は領主を恨んでいた為、進んで協力をしてくれていたのだ。
馬車の通る時間、領主邸内部の詳しい構造。……街の人は皆、優駿に様々な情報をくれたのである。
「気が付いたか?……そうだ。この国の王や領主達は皆、かなりの恨みを買っている。いつ反乱が起こっても、何ら不思議では無い。俺達が何もしなくても何れ民衆は立ち上がり、反乱は起きるだろう。……今は国が押さえ付けているが、それも何時まで持つか。」
「…………。」
「……そこで、俺達だ。朧の団が打倒翔国を掲げ反乱を起こせば、それに乗じて何人が呼応すると思う?」
公孫翔の言葉に優駿はハッとなり、顎に手を当て頭を働かせる。
……朧の団は翔国で知らない者が居ない程、名の通っている義賊である。その実力は確かで、今迄に幾度も討伐隊を退けてきた。
……以上の事を踏まえ、優駿は答えを導き出す。
「恐らく、二千か三千は……。」
「…………。」
その言葉に、公孫翔は少し残念そうに目を閉じて答える。
「零点だ。……お前、先程まで俺に何と言ってた?」
「あ……。」
……そう、確かに優駿は言ってたのだ。無茶だと、あまりにも無謀だと。……そして、絶対に勝てないと。
優駿は公孫翔に、先程まで逃げた方がいいと散々言っていたのである。
……その事を思いだし、優駿は恥ずかしくなり顔を伏せた。
「ま、それで朧の団に入りたい奴は、余程奇特な奴くらいだろうよ。……つまりだ。民衆が求めているのは"力"、それも圧倒的な"力"だ。国の軍隊相手に勝てるかも知れないと、思わせる程のな……。」
「…………。」
「故に俺達は、あまり策も弄さず奇襲もせず。真正面から正々堂々と戦い、全て力でねじ伏せてきた。朧の団と、あの二人の名を売る為にな。」
……二人?
「優駿。この国に将軍は何人居るか、知っているか?」
「え、えーと。……確か、五人の筈だよね。臥龍将軍と厳狼将軍、えーと、後は……。」
「いや、それだけ知っていれば問題無い。そうだ、この国には五人の将軍が居る。次の戦いは、この五人の将軍の何れかが率いてやってくるだろう。……数は、約一万近いと予想している。」
「え?……一万だって!?そ、そんなっ……。」
「優駿。次の戦いは、まだ早いが……。その次の戦いからは、兵を率いて出てもらう。優駿、お前には期待をしてる。それまで、しっかりと学んでくれ。」
「……はは。」
優駿は、笑う事しか出来なかった。自分と公孫翔では、見てる世界が違い過ぎていたのかも知れない。
……優駿は只、茫然と立ち尽くしていた。
「優駿、お前はこの国の王をどう思う?」
……?
「え?そりゃ、あまり良くないと思うけど……。」
「……そうだ、他国の王も全てそんな感じだろう。民の事を考えず、皆戦争ばかりしている。なら……。」
「…………。」
「この俺が、王になっても問題無いよな?」
──!?
その言葉に、驚く優駿。
「こっ、公孫翔さんは……。この翔国の、王になるつもりなんですか?」
「……そうだな、最初の目的は概ねそんな感じだ。」
「……最初?」
「ああ……。」
公孫翔は少し間を置き、優駿の顔を見つめ真剣な表情で話し始めた。
「俺は、十国全てを制圧するつもりだ。」
武将紹介
「優駿」
武力 45
知力 75
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、剣竜。
「臥龍」
武力 96
知力 68
体格 98
"天覇十傑"に名を連ねる、最強の将軍の一人。その実力は、剣竜とも互角に戦える程の強さを持つ。翔国が誇る、二大将軍である。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。




