水門
懺悔の翌日、自宅マンションに二人目の使徒が来臨した。
一人目の使徒に関する言行録を受け取りに来た、という。
招き入れると、彼女はすぐに先週と同様、パソコン内のデータをコピーし始めた。座布団の上に正座して、ゆっくりと、それでいて力強く、右手を動かす。背筋はぴんと張ったままで、体は揺るがない。機器でやっていることはともかく、姿勢については聖職者のお手本のようだ。
「手を洗わせて頂いてよろしいでしょうか」
作業をいったん中断して、第二使徒・陰陽師の少女が言った。
彼女がドアから出て行くと、部屋には俺と、使徒の使徒が残った。使徒の使徒・式神の少女は、来るたびにゲームで遊んでいる。
「いつも遠くまで連れ出されて大変だな」
「そんなことないですよう。ここに来るのは命の洗濯ですう」
幼い式神少女・赤靴はすぐに返事をした。結ばれた相手以外の異性を疎遠にするという赤い糸の効果は、式神か子供の少なくともどちらかには効かないのだろう。
「命の洗濯って、自分も鬼の一種だろ」
ネットでざっくり調べただけの浅い知識と、以前に二人が来たときの頼りない記憶を使って、突っ込んだ。
「阿仁女様は鬼より鬼なんですよう。赤靴は荷物持ちさせられて、お仕事の手伝いもさせられて、修行もして、何かあったらお説教ですう。遊ぶ暇なんてありません。ひどいと思いませんかあ」
「それは……ひどいのかな……よくわからないな。修行ってきつい?」
赤靴は二度首を縦に振った。
「人間でもできるのかな、その修行って」
「へ?」
「いや、なんだかアニーが渡会流なんとか道を宣伝するのに熱心だったから。生徒募集でもしてるのかなって」
「大丈夫ですかあ」
「何が? 時間? 俺は忙しくないけど」
「人生ですよお」
どういう意味だ。
「別に悟りを開きたいとかそういうんじゃなくて、化け物と戦う手段が欲しいんだが」
今のところ、これ以外に方法はないと思う。あの戦い方はスマートとは言い難いが、その代わりに威力が申し分ない。多分、習うだけの価値はあるだろう。
「とてもお勧めはできませんねえ……」
渋っている。
なぜだろう。身長や体重の下限に引っかかるはずはないし、筋力不足も理由にはならないはずだ。もっとも、除霊プロレスが女子専用で、正式なコスチュームが女子用レオタードしかない、というのなら考え物だ。見るだけにしたい。
「霊力は出せますかあ」
俺を眺め回しながら質問してきた。
「ちょっとだけ」
「こんな感じで、やってみて下さい」
物を貰うときのように、赤靴が手の平を差し出してきた。その手の上に、メロン並の大きさで青い炎が灯った。LED照明に匹敵するほど明るいのだが、眩しさは感じない。
自分も右手を差し出して、それに倣う。
出ろ出ろ出ろ出ろ、と念じて、赤い光が小さく点灯した。切れかけの豆電球レベルの明るさで。
「これはどうも……いけませんねえ……都市伝説力ですしい」
小学生のような子に呆れたように言われると、泣きたくなってくる。
しかし、涙は出ない。赤靴の青い炎と自分のショボい光を何度も見比べているうちに、なぜか目がスッキリ冴えてきたからだ。九時間熟睡して目覚め、それから一時間経ったときぐらいに。流れる間もなくいきなり涙が涸れるほどの実力差なのかよ。乾いた笑いが出そうだ。
「霊感はどうですかあ」
赤靴は青い霊気を消して立ち上がり、窓に寄った。
「化け物は見えてるけど」
「都市伝説だけ見えても駄目ですよう。都市伝説力とは違う波長の気も使いますからねえ。あの浮遊霊は見えますかあ?」
俺も立ち上がり、赤靴の隣に立った。
小さな手が指差している方向を見る。レースのカーテンを開けて目を凝らしても、暗くなりかけた晩秋の空しか見えなかった。
「どこにいるんだ」
「やっぱり厳しいですねえ」
これは門前払いか。半ば諦めかけたときに、アニーが戻ってきた。
「どうかなさいましたか」
「あ、阿仁女様。入門希望だそうです」
「にゅう、もん」
報告を受けた陰陽師は、言葉をゆっくり区切って呟いた。鳩が豆鉄砲を食らったという喩えが相応しい目だ。
「でも、この人どこかで転んで、頭の打ち所が悪かったのかもしれないですし、ちゃんと赤靴が治癒の術を施してからお考えに――」
「おだまりなさいっ」
従者を一喝したアニーは、鉄砲玉のように一気に接近してきて、俺の二の腕を左右両方とも掴んだ。
「本当ですわね!? 本当ですわよね!? 間違いありませんわね!?」
「うん、はい、そう、すぉの、とおり、です」
だからもう揺すらないで。脳震盪になりそう。
揺するのをやめた二人の陰陽師は、同時に俯いて数秒肩を震わせてから、揃って面を上げた。二人とも喜色満面の笑みになっている。
「渡会流の素晴らしさがお分かりいただけるなんて、恐悦の至りですわっ。霊力をほとんど感じさせないのに、それだけお目が高いとは、恐れ入りました。只者ではありませんわね」
自分で宣伝や解説をしてるんだから、只者も目が高いもあったもんじゃないだろう。
「座ってお話になられたらいかがですかあ」
テンション低く、赤靴が水を差した。
座りなおして会話を再開する。
分身の術を解いた陰陽師が喋り出した。差し水の効果は疑わしく、熱気ある話しぶりはそのままだ。
「貴方と違って、世俗の方の大概は、なかなか渡会流の良さを理解していただけませんの。『いちいち技の名前を言うな』だの、『何でプロレスなんだ』だのと、困ったものです。言霊を用いることで気を高めるという、霊術の基本のキもわかってらっしゃらない方が多すぎます。レーザービームのような波動や魔法の流星みたいな技こそ知的で流麗で雅だ、という風潮もどうかと思いません? ジェダイの騎士がそんなものを使うところを見たことがありまして? 使うのは銀河帝国の皇帝ではありませんか。直接無駄なく気を送り込む技こそが、理性ある行動というものです。皇帝打倒の決め手が投げ技なのも、刮目すべきポイントですわ」
陰陽師がジェダイを語るのか。
「今、こう思われたでしょう。ジェダイといえばライトセーバー、剣ですわね。なぜこれを使わないのかと。なるほど、剣技もこれはこれで味わい深いものですが、プロレスには、剣にはない利点があります。雅弘さん、貴方はわたくしが護符を使うところをご覧になったでしょう? 護符や結界は陰陽師にとって欠かせない道具です。しかも、その種類は一つや二つではありませんし、気を十分に込めるには手で印を結ぶ必要があります。ですから、いつでも両手を自由に使える戦い方こそが良いのです。しろうと目には滑稽に見えたとしても、実際には合理的なのですわ。もちろん、元がショーマンシップ溢れる格闘技、そのダイナミズムにも一種の趣があります。間近でご覧になったことですし、貴方が惹かれたのはズバリ、これですわね?」
「あー、いや、そういうことではなく」
「ではなく?」
少し意外というふうに、アニーは目をしばたたかせた。
「何か、もっとあいつの力になれないかなって。アニーなら協力してくれそうだったし」
「あら……渡会流の魅力ではございませんでしたの……」
露骨に意気消沈している。床に視線を落とし、黙り込んでしまった。
赤靴が口を開く。
「やっぱり、そんなところでしょうねえ。阿仁女様もこの調子ですし、資質も十分とはいえませんし、入門の件はなかったことに……」
「そうですわ……」
駄目だったか。仕方ないか。
「うふふ、そうですわよ。渡会流に魅力が無いのではなく、もう一つのことに心を奪われているから、ですわよね」
どこか不気味に笑いながら、アニーが喋り続ける。
「それが落ち着けば、次には渡会流の真の魅力の虜になること、間違いありません。先ほどはわたくし、勘違いしていましたわ。格闘技の部分ではありませんでしたのね。ファンタスティックで、ロマンティックな感性の御方でしたか……」
「あのう、阿仁女様あ?」
心配する赤靴を無視して、アニーは俯いたままニヤニヤ笑い続ける。アニーの視線の先にある物は、赤い糸だ。
「生半可な気持ちで道ならぬ道に踏み込むと、後悔しますわ。それとも、もうすでに深い仲ですの?」
どうやら、今度は別方向に勘違いしたらしい。
「きっとそうですわね。何しろ、格調高く伝統ある、由緒正しき渡会流の門を叩こうとなさるぐらいの覚悟ですもの。わたくしには貴方の心意気、よく伝わりました」
「いや、別にそこまでのものじゃ……」
「またまた。お隠しになさらずともよいじゃありませんこと? よくお似合いです。まさに割れ鍋に綴じ蓋……ぷっ……、顔に似合わず、なかなか隅に置けない方ですのね」
思い込みが激しい。しかも何気に暗黒面に堕ちている。投げ技使いのジェダイだけのことはある。
「いいんですかあ」
「いいのです」
赤靴に対してきっぱりと言い切ったアニーが、こちらを向く。
「ただし、お断りしておかなくてはならないことがあります」
「何?」
「体術を伴う本格的な修行はできません」
「どうして」
「それです」
手で、俺の指から出ている赤い糸を示した。
「ナギーからの都市伝説力流入が、修行の妨げとなります。いくら意識を集中させても、その都度に霊気が乱されて、効果に乏しいでしょう。逆に式道で調整された霊力がナギーに流れて、彼女の邪魔をする恐れもあります。それでもよろしいのですか」
「うーん、それは……」
返す言葉がない。
「じゃあ、どうすれば」
「いくつかの呪符と護符の使い方を教えましょう。呪符は簡易的なものですが、訓練すれば霊的エネルギーロスが減って、少しずつ威力が上がります。貴方自身に力が宿るわけではありませんから、彼女の邪魔になることはありません。命中率や射出速度を十分に高めておくのが良いでしょう」
命中率にシャシュツ速度?
「飛び道具なの?」
さっき言ってたことと違う。
「防御の訓練用ですわ。わたくしが飛び道具を使わないからといって、相手も使わなくなるわけではありませんから」
「なるほど」
陰陽師の練習用になるのなら、あいつにとっての練習用にもなるだろう。
「赤靴、こちらのお宅へ郵送する手配を。町名、番地はわかっていますわね」
「はい。あのお姉さんから聞いてますからあ」
「願書と誓約書かな。大学受験みたいだな」
「違いますわ。呪符と護符、それから結界用の札も送ります」
予想外のことを言われた。
「それってつまり、通信教育なの? なんか不安だな、それ」
「わたくしも忙しい身です。何度もこちらに参るわけにはいきませんし、貴方が京都においでになられても、留守になってしまいますわ」
それもそうか。俺が京都に引っ越すのも、赤靴のようにアニーに付き従うのも無理だ。
赤靴が持ってきていた風呂敷包みから携帯電話を取り出し、アニーに手渡した。
メールアドレスの交換をする。
その間にも、赤靴が郵送について説明を続ける。――届かない場合にはすぐに連絡を。けれど、渡会流の呪文でなければ札に組み込まれた側の術式が働かないので、盗まれてもあまり心配することはありません――。このような内容だった。
次に、送料の話になった。
「着払いで送りますねえ。重さとサイズは大体……」
そうだ。大事なことを忘れていた。
赤靴の説明を遮って、アニーに恐る恐る尋ねる。
「えーと、月謝って、高いのかな……」
「月謝……」
アニーは天井を見ながら顎に人差し指を当てて少し考え、次にノートパソコンを見やり、また少し思案した。
「そうですわねえ……こちらの事情もありますから、今回は結構ですわ。次からお願いいたしますわね」
「ああ、そうなんだ。それはどうも」
まずはそれで十分だ。その後も続けるかどうかは、料金や状況次第だな。
「礼には及びませんわ。貴方には、愉快でない仕事をして頂いてますから」
再びノートパソコンを見ながら、声を沈ませてアニーが言った。
まるで自分のことのように心配してくれている。いい人だ。
「まあ、怪しい都市伝説の宣伝工作なんて楽しいとはいえないし、いっちゃいけないと思うけど、苦痛というほどでもないよ」
ナギーが近くで注文をつけてくる間は苦痛だったが。
「そうですの……。変わった人ですのね。それとも赤い糸のせいでしょうか……。それなら、厚かましいと思われるでしょうが、これからはメールにファイルを添付して宣伝用の元データを送って頂けないでしょうか。間隔が短いほど助かりますの」
「ああ、いいよ」
「駄目ですう」
突然、赤靴が叫んだ。それを見て、アニーが訝る。
「なぜですの?」
「中途半端になっちゃいますう」
「パソコン用のメールアドレスもあるでしょう?」
「ええ~っと、その、こっちのデータが……」
ひどく気まずそうに、床に置いてある携帯ゲーム機を見ながら赤靴が呟いた。
アニーが深くため息をついた。
「ここへは、遊びに来ているのではありませんのよ」
「もう少しでクリアですしぃ……そこを何とか」
泣かれても面倒だ。最初に来たときにゲームで遊ばせたのは俺だから、俺にも責任の一端があるだろう。
「あー、もしよかったら、それ貸すよ。クリアしたらお札と一緒に送ってくれればいいから」
「本当ですかあ」
「いけません」
物言いがついた。
「玩具があったら、遊び続けてしまいますわ。この子には、まだ渡会流沈霊式道に仕える式神としての自覚が足りないのです」
「そんなことありませんよう」
俺にとって兄弟子格に当たる幼い女の子が口を尖らせる。
俺も同じゲームで延々と遊び続けたことがあるので、少しばかり、自分も叱られている気分になった。ゲーム好きとしてフォローすることにしよう。
「いきなり全面禁止にするのはどうかな。未練が残ってると、かえって修行に身が入らなくなるよ。クリアまではいいんじゃないかな」
「未練……」
アニーが迷っている間に、弁護のための追加情報を赤靴から引き出すことにする。
「今どのあたり?」
「えーと」
ゲーム画面を見せられた。順調にいけば、あと三十分でゲームクリアーになるところまで進んでいた。
「一時間あれば終わるよ」
少し時間に余裕を持たせておいた。
「一時間、ですか。すみません、もうしばらくお邪魔いたしてよろしいでしょうか」
「どうぞ」
よし、弁護成功。勝訴だ。
ゲームをクリアさせてから二人が帰ることになった。赤靴が遊んでいる間に、アニーは一週間分の情報工作用のデータを確認する。
「これは……このままだと……いえ、霊視してから……」
楽しそうにゲーム画面を見ている従者と対照的に、パソコンモニタを見る主の表情は暗い。
「あ、宣伝うまくいってない? 大会に間に合うかな」
「いえ、大変役に立っていますわ……」
モニタを見つめたまま、口だけを動かしている。
全然嬉しくなさそうだ。本当に役に立っているのかな。
「間に合いそうになくても、修行はしておいたほうがいいよね?」
間に合った場合にはナギーは帰ってこないかもしれないが、後でアニーから会場を聞き出しておけばいいだろう。大会が共通の目的なのだから、監督かセコンドとして会場に来るに違いない。俺は時々ウォーミングアップの手伝いでもしておけばいい。
アニーが振り向いた。真剣な眼差しだ。
「ナギーは必ず間に合わせますわ。赤い糸で結ばれた相手を信じるのです。いいですか、貴方は赤い糸で結ばれた相手を信じるのです」
力を込めて二回も言った。
そんなに大事なことなのか。恋の伝道師かよ。
「だからそういう関係じゃないって……」
「修行は、試合のためのものだと思ってはなりません。実戦だと思って、本気で取り組んでください。いい加減にやっていると死にますわよ」
聞く耳を持たず、恋の伝道師は鬼コーチに変わった。陰陽師には思いこみの強さが必須らしい。
「わかったよ」
それからは、必死の形相でファイナルマッチに取り組んでいる鬼――式神の横で、修行についての打ち合わせをした。俺が取り組むべき順序は、護符、簡易式の対霊結界、人払い用の結界、呪符、簡易式の対都市伝説用結界、とのこと。
命を守る護符――北陸沖で見た霊気の盾だ――が最優先なのはわかる。しかし、その次に対霊結界がくるというのがよくわからない。その次の、呪文を唱える姿を怪しまれないための人払い、というのはわかるが。
そのことを問い質すと、次の答えが返ってきた。
「幽霊、人間、都市伝説。これは詠唱訓練の邪魔になりやすい順番ですわ。幽霊は数が多いですから、呪符や護符でいちいち相手をしていたらキリがありません。ちょっかいを出してくる幽霊は、対霊結界で弾くに限ります。都市伝説は元々多くいませんので、呪符や護符の練習も兼ねて、結界を張る練習は後回しです。霊力が少ないと必要な詠唱時間が長くなりすぎますから、必要なときにはわたくしが張りますわ」
わかったような気もするし、わからないような気もする。
「幽霊も都市伝説の一種じゃないの?」
「いいえ。霊気の性質が異なります。専門的な言い方をすれば、都市伝説力は『虚』の霊的エネルギーとでも申しましょうか。零ではなく虚です。虚数の虚。『空』といった紛らわしい概念もありますが、こちらはお坊様の専門です。象数易の観点から解説した書物によれば、陰が極まって陽に変ずるように、虚が極まると実に変じ、霊力と同等の働きになる、とされています」
余計わかりにくくなった。頭が痛い。
「あの、もう少しわかりやすく」
「ウソですわ」
おい。
「俺に本気でやれと言っておいてそれは――」
「あ、そうではありません」
アニーは手を何度も振り、慌てて否定した。
「ウソの力です。ウソの力。『嘘から出たまこと』という意味ですわ。都市伝説の根っこは真っ赤な嘘。ですから伝説力は赤色なんですの」
「嘘くせー……。さすが都市伝説……」
「元が嘘でも、念がこもれば力が生まれます」
「幽霊は嘘じゃないんだな」
外が暗くなったので、厚手のカーテンを閉めるために立ち上がる。
浮遊霊はまだいるのだろうか。レースのカーテンを開けてもう一度挑戦したが、窓に自分の姿が映っているだけだった。
「幽霊は霊魂ともいいます。魂は本音や本心が出やすいものですわ。……もういませんわよ」
「今度はいないのか……。幽霊って呼ぶと怪しいけど、魂ならちょっとカッコいいな」
カーテンを閉めた。室内にはゲームのエンディング曲が流れている。
「そうですわね。けれども、本音や本心は良いものばかりではございません。逆に、ある種の嘘には美点もあります」
「嘘に美点?」
曲が終わった。ゲームクリアを達成した式神の女の子は、魂が抜けたかのように呆けている。
「高い理想のことですわ。実現できないぐらい高みにあって、それでいて追いかける価値のある理想、夢、目標です」
陰陽師は式神少女の肩に手をのせ、軽く揺すった。
「夢や理想も、実現しなければ真っ赤な嘘ですもの。そう思いません?」




