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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第四章【サマナイズ編】

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95 ジョアンの攻略方法

(ルーク)


ジョアンの強さは、きっとこれから起きる事件によって引き出されるモノ。


確か、この悲惨な体験によって、ジョアンは後に最強と呼ばれるモンスターとの契約に成功するので、それを変えて良いものかは分からない。

そのモンスターは闇の属性と特殊な力を持ったモンスターであり、ジョアンの復讐に燃える感情を気に入って契約するみたいだから、この事件がないと契約してくれないはずだ。


「ジョアン少年、一つ質問があるんだが、いいか?」


「?は、はい……。」


ジョアンは少し怪訝な顔をしたが、直ぐに真剣に答えようと気を引き締めてくれたため、俺は安心して尋ねた。


「今みたいな危機敵状況じゃなくて……日常を普通に暮らしている時、もしも大きな力を今すぐくれると言われたら、ジョアンはそれを欲しいと思うか?」


「力を……?」


ジョアンは俺の質問を聞いてキョトンとした顔をしたが、すぐにう〜ん……と考え込んだ後、俺に真っ直ぐな視線を向ける。


「────いいえ。何もせずにただ与えられるだけの力は、きっとあまりよくない力でしょう。

力とは己の努力によって長い時間を掛けて手に入れるモノです。

僕は力が欲しい。でも……その様に楽をした上で力を手にした所で、きっと恐ろしい何かを犠牲にする未来が待っている様な気がします。」


「そうか……。」


俺はフッ……と笑うと、ジョアンの頭をグリグリと撫で回した。

「わっ!」と驚くジョアンだったが、俺はそのまま大声で笑い、親指を立てて見せる。


「ジョアンは凄いな。その選択に心からの敬意を、そしてその答えをこれからも大事にして欲しいと思った。

きっとこれからジョアンは、犠牲ありきのイベントなんてなくても強くなれる。

だから俺は、そのまま自分で選んだ答えを持って生きていける様に、邪魔な障害物は壊してやろうと思う。」


「???は、はぁ……。」


ジョアンは何がなんだか分からないという顔をしていたが、撫でられた頭を触り、カァァ〜!と真っ赤になっていた。

そんな可愛い反応を見ながら、俺は『そういえば……』とゲームの中のジョアンについて思い出す。


ゲームの中のジョアンを攻略するキーは、『褒めない事』。


ジョアンは主人公が一言でも賛辞の言葉を口にすると、一発で攻略不可になるというめちゃくちゃ初見殺しのキャラだ。


一言でも『凄いね』『強いね』など、ジョアンを褒める言葉を口にしてしまうと二度と心を許してはくれなくなる。

そのため、主人公は共闘しながら『ジョアンは大したことないね』『それで全力?』『役立たず』などなど、煽る様な事を言い続けると、ジョアンの好感度はグングン上がっていく。


『君といると安心するよ。良かった。』


そう言って初めて笑顔をみせてくれたジョアン。

そうしてジョアンは力を手に入れ、物語の最後、実の父親の不正を暴いて死刑台へと送り届けた。

勿論助けてくれなかった街の人々も同じく全員を父親の共謀者として奴隷へと落とし、見事復讐を果たしたのだ。


これでジョアンルートはハッピーエンド。

主人公とのこの後の展開を匂わせつつのエンドとなる。


あ、そうかそうか〜。忘れてて、つい褒めちゃったよ。

────ま、いっか!


ぶっちゃけ褒め言葉一つで嫌われるなら、この瞬間エンドしてしまったと思われるが、別に俺は主人公じゃないので問題なし。

攻略だのなんだのはポイッと頭の外に追い出し、自分がしたい様にジョアンに接しよう。

そう決めて、熟れたトマトの様に真っ赤っか〜な顔をしているジョアンを誂う様に、ツンツンとつついてやった。


「よっ!見た目は子供!中身は漢!ジョアン少年はスーパークール・ガイ!ピュ〜ピュ〜!♬」


「わっ……!あ、あの……や、やめ……っ。」


ブルブル震えながら目を合わせようとしない姿は、子供らしくて可愛いこと、可愛いこと!


孫娘も小さい時はこんな感じだったな〜……。


しみじみしながら、ジョアンの頭をワシャワシャとかき回した後、変わった気配を感じ、俺は塔の最上階を見上げた。


「魔力の反応が大きくなっていくが、これは……モンスター?」


「────っ!はい。この気配は……父の契約しているドン・スネークだと思われます。」


ジョアンはすぐにハッ!とした様子で、俺と同じく塔の先端の方を見上げた。

つまりこれから召喚が始まると……そういう事か。


「へぇ〜、俺召喚見たことないから見てみよ〜っと!ほら、行くぞ。」


「────えっ?!」


俺がヒョイッとジョアンを片手で抱っこすると、そのまま驚くジョアンを無視して、ピョンッ!と大きくジャンプ!

そしてそのまま塔の壁にある小さな出っ張り部分を踏みながら上へ上へと登っていく。


「────っ〜〜………っ!!??」


「ハハッ!風が気持ちいいな!それに、いい街だ。ここから全部見渡せる。

きっとこの景色は、母ちゃんが頑張ってくれた証なんだろうな。」


血の気が引いた顔で下を見ていたジョアンが、俺の言葉を聞いて顔を上げて街の景色を見渡した。


街には沢山の家や店、広場があって、沢山の人達が楽しそうに暮らしている。

確かに格差はあるようだが、それでも笑顔でいられるなら……多分こいつの母ちゃんが、ゲリーとかいう男に支配されながらも、必死で踏ん張ったのだと思われる。

話を聞く限り、コイツの父ちゃんには、この景色を作り出す事はできないと思うから。


「……そうだ。母は……自分が怒鳴られても殴られても……貴族としての仕事はキチンと全うしていた。父によって追い出された人々のため、いつも走り回っていたんだ。」


「そうか。」


ジョアンはブルブルと震えながら、俺の首に腕を回してしがみつく。

すると、俺の肩がじわじわと温かい水で濡れていった。


「そんな母を、頑張って街に貢献してくれている街人達を、僕は死なせたくないっ……。だから、できうる事は全てやってみる。」


「うん。なんでもやってみればいい。俺は俺で動くからさ。頑張れよ。」


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