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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第三章【半年後の三人の話編】

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(セレン)68 青春へ

(セレン)


今手の中には、先程ある出店で売っていた真っ赤なリボンのバレッタ。

なんとそれをルークがくれたのだ!


「な、なぜこれを私に……?」


熱くなっていく顔を隠す様に下を向くと、ルークはアッサリと「可愛かったから!」と答えた。


か、か、可愛い!?


どうやらルークは、世の男性と同じく、こういうアイテムを好むらしい。

そして、それを私にくれたのだ!


「〜……っ……っ。」


う、嬉しい……。


ホワッと宙に浮く様な気持ちのまま、『ありがとう』と言おうとしたのだが────……。


「……ふ〜ん?言っとくけど、可愛いって、そのリボンの事だから。」


突然。ヌルッと耳に入ってくる不快音。

気に入らない存在であるアッシュという弟弟子だ。


「そんな事知っている!煩い!」


シッシッ!と『あっちに行け』ジェスチャーをすると、面白くなさそうにプイッ!とそっぽを向くアッシュ。


子供か!!


その頭にくる態度に腹が立ち、すっかりリボンを貰った喜びが半減してしまった。


アッシュは、基本人に対しては随分とクールで対応もあっさりしているのだが、こうしてルークが絡む時はまるで子供の様な態度を見せる。

私がアッシュを視線を追うと、アッシュはルークが買ってきた物をジッと見つめていた。


「こんな沢山のおもちゃ……まさか王都で売るつもり?儲からないと思うけど。」


ムスッとしながらそう言うと、ルークはそんなアッシュの頬を突き、意地の悪い顔をする。


「これは全部アッシュ用な。だから売らないぞ〜?

ほ〜らほら!これなんてどうだ〜?…………あれ?コレ、どうやって遊ぶんだ……??」


ルークは、20cmくらいの長さの杖の先、ネズミのおもちゃがついたアイテムを手に取り、訝しげな目でジッ……と見つめた。

どうやら遊び方が分からないようだが、それは────……。


「……ル、ルーク……それは猫のおもちゃ────……。」


「まっ、いっかぁぁぁぁ!!!よしっ!アッシュ!来いっ!!

このネズミを破壊したらお前の勝ちだぁぁぁぁ!!!」


最近気付いたが、ルークは深く考える事が非常に苦手な様で、ちゃんと考えずに突っ込んでいく事も多い。

これもそれに該当したらしく、おもちゃ付きの杖をブンブン振ってアッシュを挑発すると、アッシュは呆れた様な表情を────してなくて、なんとキラキラ目を輝かせて、地面を軽く足で叩く。


「……へぇ〜そういう事なら、遊んであげていいよ。

おもちゃで遊ぶなんて恥ずかしいけど、ルークがどうしてもっていうなら……仕方ないか!」


そう言い終わった瞬間、全く見えないスピードでルークの持っているネズミのおもちゃにキックを当てに行くアッシュ。

ルークは、それを大きく振って、ネズミを救出した。


「俺はゲームが大得意でなぁ〜負けるつもりはないぞ?

麻雀では、毎回全員の身ぐるみを剥いでやった男からな。」


「?マージャンってなに?────まっ、いっか!」


二人はそのまま激しい戦闘を続け打って避けてを繰り返しているが、これは本当に遊んでいる様で……そのため、『それは、ペット用のおもちゃだ。』と言うのは止めた。


なんだかアッシュは勿論の事、ルークも楽しそうだし……。


ムゥぅ〜?とちょっと嫌な感じはしたが、あんなに楽しまれては邪魔するのも忍びないし、それに、なんだか今のアッシュは孤児院にいる子供達とソックリに見えたので、意地悪する気が削がれてしまった。


クールな様で子供の様になる事もある。

なんだか変な男だな……。


心底気味の悪い男だと思いながら、私は貰ったリボンを再度見つめた。


……せ、せっかく貰ったんだし、付けないと失礼だしな!


あとで部屋の中で着けてみようと誓い、リボンが崩れない様にソッと握りしめ、どんどんと白熱する『遊び』?を見つめる。

まだまだ終わりそうにない『遊び』を見つめながら、これから始まる青春とやらに思いを馳せた。



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