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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第一章【太蔵は乙女ゲームに転生する編】

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4 こんな事楽しいのかね?

(ルーク)


「どれだけ前世での経験値がアドバンテージになるかは分からないが……まぁ、元々ステータスなんかに頼らなくても、体は戦いを覚えているから多分大丈夫だろう。」


目を閉じれば、今まで戦ってきた記憶が昨日の事の様に思い出され、思わずニヤッと笑ってしまった。


この世界は実力主義。

攻撃されたら、相手を殺しちまったって自己責任。

俺の様に手が先に出る様なヤツにとっては────……。


「まさに天国みたいな場所じゃねぇか。

平和になった前世の世界だと、何故か殺されそうになったって、殴ったらこっちが悪者だったもんな……。」


元々口より先に手。手が出ないなら……足が出る性格だから、前世の後半は随分と生きにくい世界ではあった。

勿論それ以上に幸せだったが……その思い出の大半は、平和の産物、ゲームとやらを孫娘に無理やりやらされた記憶ばかりが浮かぶ。


「生まれ変わった少年も、きっと俺と同じ道を辿るだろうな〜。母ちゃんになった孫娘に、ひたすら男を口説き落とすヒロインをやらされるぞ、ゲームの中で。」


ククッ……と悪どい顔で笑っていると、突然離れた場所からこの部屋に向かって歩いてくる二人の人物達の気配を察知する。


反応からするに、さっきの父親と兄達ではなさそうだ。

だいぶ反応が小さいから。


足音を聞き分けると、それなりに若い一人は女、一人は男である事に気づき、おそらくは使用人である事が分かった。


さてさて、一体何の用なんだか。


「……さっきの歓迎っぷりを思うと、大体の察しはつくけどな。」


ため息をつきながらまたベッドの上に座り込むと、部屋の前まで来たそいつらは、バンッ!!と乱暴な仕草でドアを開けた。


「お食事をお持ちしましたよぉ〜?無能なご長男様ぁ〜?」


「 今日も美味しい美味しいスープとパンですよ♡はい、今直ぐあげますねぇ♡」


男の方は黒いスーツの様な格好をし、女の方は黒いメイド服の様な格好をしている事から、恐らくは屋敷で働く執事と侍女であると予想する。

そんな二人はニヤニヤしながら部屋に入ってくると、突然女の方が手に持っているスープとパンが置かれたトレイを床に落とす。


────ビシャっ!!


盛大に溢れたスープが床を汚すと、二人はゲラゲラと笑った。

明らかに手慣れているその行動に、()()()日常的にしている事だと確信する。

               

「……なぁ、これって普通の食事方法?」


溢れたスープを指差し尋ねると、男の方が笑いながら近くに落ちているパンをグチャグチャに踏み潰した。


「はい、これでいつもと同じお食事になりましたね。忘れてて申し訳ありませんでした〜。

さぁ、どうぞ全て召し上がってくださいねぇ〜?絶対に残しちゃ駄目ですよ?

だって、ゴミ平民たちが必死で作ってくれた材料が、入っているんですからぁぁ〜。

────ほら、早くしろよ。こっちも仕事があるんだからさぁ!!この能無し長男様!!」


ニヤニヤ大きく顔を歪ませた男が俺の髪の毛を鷲掴み、怒鳴ってきたので……やつの顔に叩き込んでやったよ。

────俺の拳を。


「────っヘブっ……っ!!!」


「────えっ……?」


死なない様に全力で手加減してやった拳だが、男の方は大きく顔を変形させながら吹っ飛んで壁に叩きつけられてしまい、女の方はそれを見つめ呆然としたまま立ち尽くしていた。


これじゃあ、ちょっと力加減を間違えたらすぐ死なせちまうな……。


手をギュッギュッと軽く握りながら感覚を確かめると、今度は恐怖に大きく歪んだ顔をしている男の方へゆっくりと近づいていく。


「それはそれは〜。毎日の食事を、どうもありがとうございま〜す。

でも、俺、ここでの食事マナー分かんないからさぁ〜ちょっと手本見せてくんない?────な?いいだろう?」


「なっ、なっ、なっ……っふ、ふざけるなよっ!!!こっ、こっ、この野郎っ!!!俺の……俺の顔を殴るなんて……無能のくせ…────アガっ!!!!」


「おい、耳ついてるんだろう?イエスかノーかで答えろ。────どうする?」


俺が笑顔のままもう一度殴って問いかけると、男は真っ青になりながらコクコクと頷いた。

様子が違う俺に恐怖を抱いたらしく、随分と大人しくなった様だ。

だから俺は床でグチャグチャになったパンを指差し、顎をシャクると……男はこの世の終わりの様な顔をしたが、素直にそのパンを這いつくばって食べ始める。


「……さてと。」


俺が立ち尽くしている女へと視線を向けると、そいつは「────ヒッ!!」と短い悲鳴を上げたが、俺は笑顔のまま今度は床を濡らしているスープを指さした。


「平民さんが一生懸命作った材料が入っているらしいから、ちゃ〜んと全部飲まないとな?

アンタもそう思うだろう?」


「そ、そんな……っ。の、能無しが……突然どうして……っ!!」


女は本能的に俺に恐怖を抱いている様だが、今までの記憶から俺の言う事を聞くのはプライドに触るという感じの様だ。

負けじと俺を睨みつけてきたが、俺はそんな女の間合いに一瞬で飛び込み、その膝裏をコンッと軽く蹴ってやった。


「────キャッ!!」


すると女はアッサリとバランスを崩し、そのまま後頭部を床に思い切りぶつけて痛みに呻いたが、そんな女の顔を真上から踏みつけてやると、動きをピタリと止める。


「質問にはイエスかノーで答えろ。

────いいか?戦いの場に置いて、簡潔に物事を伝えられないヤツは直ぐに死ぬ。

一瞬一瞬が生と死の境目だからだ。

随分とお気楽人生を歩んできたんだな、お前ら。────まぁ、当然か。

こんなガキ相手に粋がっているヤツが、まともな人生歩んでるわきゃないもんな。」


「……ハッ……!ハッ……!」


女は俺の靴の裏で、恐怖からか呼吸を荒くしている。


圧倒的な力の差がある相手に、一方的な暴力を振るわれる事。

その恐怖を与えていた側が与えられる側になれば……まぁ、こんなモンだ。


「ほら、さっさと答えろ。イエスか?ノーか?」


「……ハッ……い……イエス……っ……!」


答えを聞いて足をゆっくり退けてやると、女は顔を踏みつけただけだというのに鼻血を出していて、そのまま慌てて床のスープを舐め始めた。

そんな姿を眺めながら、ハァ……と大きなため息をついてしまう。

・・・・

こんな事、楽しいもんかね?まぁ、広い広い世の中には結構いるみたいだけどさ。


ちっとも楽しいと思えない光景を見てもう一度ため息をつくと、スキルを使ってそいつらのステータスを見てみた。



【ザムザ】


レベル5


体力:80

攻撃:10

魔力:5

知力:15

物理防御力:9

魔法防御力:5

精神力:2

俊敏:4


現在の状態:恐怖状態


(才能ギフト)


【従者】

人に使える事全般が得意な才能、Dランクギフト




【サリー】


レベル4


体力:55

攻撃:4

魔力:10

知力:16

物理防御力:2

魔法防御力:12

精神力:3

俊敏:2

現在の状態:恐怖状態


(才能ギフト)


【洗濯人】

洗濯などの家事全般が得意な才能、Dランクギフト



「……なるほどね〜。」


俺が突然独り言を呟いたため、ザムザとサリーはビクついて動きを止めたが、俺が睨むと慌てて作業に戻った。


これが一般的なステータス値……そう考えると、このレベルというモノが上がっていけば、ステータス値も高くなっていくはずだ。

とりあえずこのくらいのレベルじゃあ、お話にならないのは理解し、ふむふむと頷いた。


「……本職の奴らは、少なくともこれ以上のステータス値って事か。もう少し情報を集めないとわからんな。」


今度は二人に聞こえない程度にボソッと呟くと、もう一度二人の頭上に浮かんでいるプレートを見直してみる。

すると、コイツラには、俺が持っている称号という物はひとつもない事が判明する。

やはりこれは、結構特殊な条件下でしか手に入らないものらしい。


「う〜ん……。」


やはり情報が圧倒的に足りないため、まずは本なんかが保管されている場所に行って────とこれからの予定を考えていたその時……。


────グゥ〜……。


最大に鳴った自分の腹の音を聞き、思い出したかの様に空腹である事を思い出した。


「……うん、まずは飯だな。おい、終わったか?」


「「は、はいぃぃぃっ!!」」


ピカピカになっている床を見た後二人へ視線を向けると、同時にとても良い返事を返してきたので、俺はニッコリ笑う。

そして二人を立たせると、調理場まで案内させた。


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