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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第一章【太蔵は乙女ゲームに転生する編】

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9 ライアーとスティーブ

(ルーク)


怒り狂った状態のライアーとスティーブは、自分達の勝利を疑う事なく不敵な笑みを浮かべている。

そんな俺達の周りには、沢山の使用人達がいて、その目に映るのは排他的な感情と怒り。


『自分達より無能な存在のくせに、逆らって生意気だ!』


『お前は全員の下の存在でいなければならないのに!』


────要は、今のぬるま湯の様な幸せな環境を手放したくないから、俺の敗北を心の底から願っているという事だ。


『下』がいれば、なに一つ努力なんてしなくても『上』にいられるから。


一つの人間の醜悪な面を見せられ、それがアホらしくてへッと笑ってやった。


「口先ばかりよく回るガキ共だな。いいからさっさとかかってこいよ。

その剣と杖は飾りモンか?」


「────っ!!クソ野郎がぁぁぁ!!!」


先にブチギレて飛び出したのは、前で剣を構えていたライアーだ。

中々のスピード。

まだ15歳、大人顔負けの身体能力に少々驚いたが……残念ながら俺の敵ではない。

足を僅かに引いて、身体を今いる場所から5cmくらい動かせば、俺を狙った剣の振り下ろし攻撃はアッサリ避けられる。


「────なっ!!」


「力押しだけの鼻クソみたいな攻撃だな。そんなの当たるか、ば〜か。」


最小限の動きで避けられるとは思わなかったのか、一瞬ポカンと口を開けたライアー。

本物の戦闘ならその一瞬で一回死んでいるぞと呆れてしまったが、ライアーはそれに気づかず、まだその目には絶対的な自信がある様だ。


「ふ、ふん!まぐれで避けられたか!!しかし、そんな運任せが続くと思うなぁぁぁ!!!」


ライアーはそれから剣のラッシュを俺に仕掛けてきたが、俺はその全てを最小限の動きで避ける。


「動きが大きく無駄だらけ。これじゃあ、100点満点中の2点って所だな……。まさかそれで全力か〜?」


「────ハァッ!!────ハァッ!!……く……くっそっ!!!」


ライアーは怒りと疲れで顔を真っ赤にしながら、一旦俺から大きく距離を取った。

そして肩で大きく息をつきながら、ワナワナと震えだす。


「……っな、なんで……っ……なんで俺の攻撃が当たらねぇんだよっ!!?おかしいだろう!!?」


気がつけば杖を構えているスティーブや他の見学中の使用人達は全員、まるで何か恐ろしいモノでも見ている様な目で俺を見ていた。


今までの少年……ルークなら、きっと大人しく殴られ、なんの抵抗もできなかったに違いない。

だから、その結果にならない事が信じられないんだろうが……何もおかしい事なんてないのだ。


だって────この俺がルークになったのだから。


俺は思わず吹き出しそのまま大声で笑ってしまい、そんな俺を見たライアー達は大きく身体をビクつかせた。

そのまま好き放題笑ってやった後、俺は目尻に浮かぶ涙を指で拭き取る。


「そんなん答えなんて決まってんだろうがwwwお前が弱いからだよ。そろそろ現実見ようぜ〜?夢見る坊や。」


「────はっ?」


────プツン……。

ライアーの額から血管の切れる音が聞こえた瞬間、ライアーとスティーブの身体から何かの大きな力が溢れ出した。

多分これが、魔力と呼ばれるモノだろう。



【共通ノーマルスキル】


<身体強化術>


自分の魔力を全身に巡らせ、ステータス値をUPさせる強化系スキル

戦う際は必須ともなるスキル



「……弱いのはお前だろう?クソ雑魚な才能しかない弱者が。絶対に越えられない才能の壁ってやつを教えてやるよ。」


ライアーが大きく腰を落とし剣を後ろに引くと、その剣がバチバチと帯電しだす。



【共通ノーマルスキル】


<魔力付与>


在る一定以上の攻撃、魔力ステータスに達した時に発動できる攻撃系スキル

自分の魔力を武器に乗せてその威力をUPする事ができる



「なるほど。パワーUP系のスキルって事か。これは才能に関係なく使える感じのスキルっぽいな。『薬』なしでそんな事ができるなんて、便利なもんだ。」


さっきの要領で、スキル<全視透神>を使って情報を盗み見ると、どうやら二人揃って同じスキル<身体強化術>を使っている様なので、おそらくスキルの中は共通して使えるモノもある様だ。

二人が使っているのは自分の今の力をUPするスキルの様だが、これは前世にて現役の時に使っていた強化剤と同じ類のモノに見える。


「まぁ、人の能力を上げる強化剤は一定の肉体レベルがないと即死するから、こっちの方が安全に使えそうだけど……。」


圧倒的な力と戦うため、人類は人としての能力を底上げする強化剤を、科学の力で作り出した。

これは簡単に言えば、化け物の死体からDNAサンプルを採取し、それを元に作り出した薬だったのだが……まぁ、弱いヤツは即死する劇薬みたいなモノだったのだ。

俺もそれを投与された時、そのまま何日も生死の境目を彷徨い苦しみ藻掻いたので、その苦い思い出が過って渋い顔になると、何を勘違いしたのか分からないがライアーが笑い出した。


「ハハハッ!恐怖を感じてももう遅い!!元々、父様も母様もそろそろお前を始末する予定だったみたいだし?それなら最後、俺のスキルの練習台になって死ねよ。

じゃあな♡役立たずの無能野郎!!」


ライアーがさっきより素早い動きで飛び出すと、今度はスティーブが同時にサッカーボールくらいの火の玉魔法を打つ。



(才能ギフト)【魔法人】


<業炎球>


火属性の魔力を球状に留め、威力を高めて打ち出す攻撃系魔法攻撃


(スキル条件)


一定以上の魔力値があり、一定回数以上火属性魔法攻撃を打つこと



「────フッ。そのまま燃えろ、ゴミクズが。」


スティーブが不敵に笑って言うと、俺に向かって走っていたライアーが、パッ!と一瞬で遥か高くにジャンプした。

すると、火の玉の方が先に俺の目の前に迫る。


「ハハハッ!!丸焦げ丸焦げ〜!」


頭上で笑うライアーの下で、俺にまっすぐ飛んできた火の玉はドンッ!!と爆発を起こし、その場には土煙が立った。


「直撃だ!!ライアー、やれ!」


「わ〜てるよ!」


ライアーは土煙の中飛び込み、そのまま後ろに引いている剣を横に一直線に振りきる。


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