プロローグ
「あ〜………………マジかよ。」
元【新日本国軍隊長】<朝木 太蔵> 享年82歳。
戦いの場に身を置いていた身としては、異例の大往生したはずの俺は、冷たく見下ろす30代くらいの男性と10代半ば程の少年二人を見上げ呟いた。
三人揃ってソックリな顔立ちをしていて、純粋な日本国民とは違う目鼻立ちがハッキリしているシャープな顔立ちに、髪も黒ではない金髪の髪をしている。
どうやらコイツラは、今の俺の父親と兄らしい。
少々混乱気味の俺の前で、父親と兄達はあからさまに不快な顔をしハァ……と大きなため息をつく。
「我がグリード家の恥さらしめ。お前など私の子ではない!兄二人は優秀だというのに……お前は何もできないな、ルーク。
そんな無能なゴミが生まれた事が、我が家最大の悲劇だ!!」
殺気を込めた怒鳴り声により、周囲の空気はビリビリと震えた。
フッと周りを見れば、父親と兄達の他にも沢山の使用人達らしき者達がいて、口端を上げてニヤニヤしながら俺を見ているのに気づく。
完全なアウェイ状態かつ、今にも手を出してきそうなくらい憎しみをぶつけてくる父親と兄達、そして全身に感じる身体の物理的な痛みからして、これは最悪な状態なのだろう。
しかし────俺は、今の状態を把握する事に忙しく、父親たちの存在全てを頭の外に追いやり、色々と順序立てて考え始めた。




