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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
【第二部】 第三章 出会いと共に
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第19話 少年達の出会い

少年隊としての活動がスタートしました!

今回はルキ編!


少年達の出会い


どうぞ。

『——さて、始まるわね!』


 弟の新たな門出を、張り切った様子で見守るラキ。

 彼の背中を追っていると、やがてその足は——ある男の前で止まる。


「あ、あの……俺、アバンの紹介で——」


 そこには、ギルバディアではお馴染み、十字架の紋章の鎧に、無表情でこちらを見つめる赤髪の男がいた。


「——話は聞いたよ。君がルキだな? 私はリデル。少年隊の教育係と隊長を兼任している——よろしく頼むよ」


 リデルと名乗ったその男は、アバン、レオンと肩を並べる三隊長の一人。肩書きに劣らない、その大きな力を観察するラキ。


『アバンさんと違って、リデルさんは、どこか厳格そうな人ですね……ルキったら、生意気な口を聞いて、怒られなきゃいいけど——』


 バルナでの弟の生意気な発言を思い出し、ラキは心配するが、やがてリデルは少年隊の皆を呼び集めた。


「——彼が、今日から共に戦う新しい仲間だ。……さぁ、自己紹介をしてくれ」


 そして、紹介の場を預かったルキは——大きく息を吸う。


「——俺はルキ! 最強の戦士になるためにここに来た!」


 突然、訓練場へと響き渡る彼の大胆発言。誰もが呆気に取られ、その場にしばし沈黙が流れたが、すぐにどよめき立つ若者達。

 

「——最強だってさ」

「面白い奴だな——」


 隣にいたリデルは思わず笑みを浮かべ、彼の挑戦的な発言を皮切りに、一人の少年兵に目を向けた。


「最強の戦士か——面白い。ナポル!」


「ん? ——俺すか?」


 注目を集めた少年の名は、ナポル。長く垂れた前髪を、くるくるとつまみながら前へと出る。


「彼の実力が見てみたい。お前が相手をしてやれ——」


「——はいよ」


 気だるそうな態度をとっていたナポルは、やがてルキに歩み寄り、笑みを浮かべた。


「お手柔らかに頼むぜ——ルキ君」


「お、おう」


 ——新兵ルキと、ナポルという少年兵の対峙を、固唾を飲んで見守る少年少女達。

 弟の前で、やっと木剣を構えた少年を見ながら、ラキは心配そうな表情を浮かべる。


『大丈夫かしら……あの子、ルキよりも——』


 彼女の目に映るのは、弟に勝る大きなエギル。


「いきなりかよ……」

「ルキってやつも、気の毒だな」

「ナポルに勝てるやつなんて、いるもんか」


 そこにいた若者達も皆、ルキに対して同情の目を向ける。ラキが不安していた通り、彼の実力は少年隊で最も秀でていた。


 そして——無情にも、試合開始の合図が鳴る。


「——始め!」


 ——掛け声と同時に仕掛けたのは、ナポル。

 ほどよく力の抜けた華麗な剣を、横に振り払った。


「「「キャー‼︎」」」


 一太刀、二太刀と振られるナポルの剣捌きに、一人を除いた少女兵達から黄色い声援があがる。


『あの子、やっぱりすごい——ルキと同じ位の子なのに』


 引導を渡そうとするナポルの剣に、皆が目を見張っていたが、肝心のルキは——。


「(右……次は左だ)」


 瞬きもせず、すべての攻撃を受け切っていた。


「ほう——よく見ているな」


 全てを見切り、難なくその攻撃をいなすルキの実力を、リデルだけは冷静に分析する。


「(見える……そして、次だ!)」


 ルキは、一つ一つの攻撃を受けながら何かを狙っていた。

 そして、ついに——。


「うぐっ……!」


 ——右脇腹に、なぎ払うような剣戟を受けたナポルは、仰け反り剣を落とす。


 ルキは既に読んでいた。一見、完璧なまでに見えた剣の呼吸の間に、わずかに見せる一部の隙を。


『うそ……勝っちゃった』


 尻餅をつき、信じられない様子でルキを見上げるナポル。その横から、ずっと黙っていた一人の少女兵が、飛び上がるようにして声を上げた。


「——すごいわ! ナポルに、勝っちゃうなんて!」


 さらに、それにつられた周りの群衆も、手を叩きルキに歩み寄る少女兵について行った。


「すごーい」

「お前、強いんだな」

「今の、どうやったんだ?」


 番狂わせを見せ、憧れや尊敬の混じった視線の数々を当てられたルキは、少したじろいでいた。


『バルナの戦いを乗り越えたルキにとっては、当然ね!』


 ——今までの旅の中で見てきた、強者の戦いの映像が、少しずつ彼のものになりつつあった。

 目にも止まらぬ光速剣、全てを押し負かす剛剣。

 圧倒的な体躯を持つ妖魔や、それを操る半妖の恐怖。


 圧倒的な実践経験が多かったルキにとっては、この結果は、当然とも言える成果だった。


「今のは……油断しただけだ——」


 立ち上がり、群衆に野次を飛ばすナポル。

 自分の実力に、よほどの自信を持っていたのか、彼の実力を認められない様子。


 ——するとルキは、黙って彼の元へと歩み寄った。


『ちょっと! 喧嘩なんかしちゃだめよ——』


 ラキの心配を横切り、ナポルの目の前まで歩を進めた彼は——優しく手を差し出した。


「お前も、すごかったぜ——今度俺にも教えてくれよ」


 握手を求めるその手には、敬意が込められていた。

 勝利こそしたものの、ルキはナポルを見下す事をせず、素直に彼の技を讃えていた。


「ぐぐ、くそっ!」


 思っていた言葉と違った彼の好意に、恥ずかしさを覚えたナポルは、そのまま後ろを向いた。


「——んもう! あんたも、認めなさいよね」


 彼の惨めな背中に、遠慮なく言葉を投げる一人の少女。

 そして、和気藹々とした雰囲気を締めるように、その場に低い声が響く。


「それまでだ、ルキ……君の実力はわかった。それに、ナポル——また技が増えたな、見事だったぞ」


 ——リデルの試合終了の声により、ルキの力試しは幕を閉じ、少年兵達は、それぞれの訓練の持ち場へとついていく。


 すると、彼の勝利を喜んでいた一人の少女兵が、ルキの目の前へとやってきた。


「やっ。私はテゴラ——今日からよろしくね!」


 深緑色の短い髪を結い上げた少女の名は、テゴラと言った。八重歯をはにかんで見せた彼女は、去ろうとしていた肩を、再び組み寄せた。


「こいつはナポル——幼い時からの、腐れ縁ってやつ」


 少し口を尖らせ、横を見ていたナポルは吐き捨てるように言う。


「ナポルだ……次は負けない」


 彼のぶっきらぼうな態度にも、ルキは気にせず笑顔を向けた。


「おう! これから、よろしくな——テゴラ、ナポル」


 彼は新たな出会いの中で、互いを認め高め合う喜びを覚えるのだった——。


『ルキ……もういつまでも、子供じゃないのね』


 ——向こう見ずな性格の弟が、誰かに目をつけられはしないかと、ずっと見守っていたラキ。


 けれど、いつも泣いてばかりで、ただ後ろをついて来るだけだった彼は、知らぬ間に大きく成長していた。


 その姿を見て、胸に込み上げるのは確かな喜びと、そして、ほんの少しの寂しさだけだった。

彼の強さだけではなく、心の成長が見れる感慨深い回でした。

ですが、彼はまだまだ成長しますよぉ〜


お次は金曜日に!

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