第17話 戦いへの目覚め
第二章 目覚めと共に
最終話は短くまとめました。
ご覧あれ。
戦いへの目覚め
どうぞ。
——彼の治療を終え、幕屋の扉を開きその部屋を後にするルミナ。
目の前を通り過ぎようとするその足は、俺の前でぴたりと立ち止まった。
「……いるんでしょう? そこに」
(——あ、ああ。一応な)
さっきの騒動で、思わず声を上げてしまった俺は、もう隠しても仕方がないと思い、観念していた。
「結局ずっと、こそこそ見てたのね」
(それは、ずっと心配してたから)
俺はまだ、気まずい気持ちのままだった。
彼女も少し気まずかったのか、声のするこちらを向かずに黙ってたが——やがて、言いにくそうな様子で口を開いた。
「私ってば……あんなに見苦しく狼狽えていたの?」
(——はぁ?)
大切な人を亡くし、嘆いていたレオン。
その情けない姿を、自分と重ね合わせていたルミナには、何か恥ずかしい感情が湧き上がっていた。
(ああ。そりゃもう——ひどいもんだったぞ)
「やめてよ! もう!」
いつまでも気まずいままではいられないと思った俺は、笑う様に声をあげる。
それに対し、可愛く怒った顔をこちらに向けるルミナだったが、彼女はまたすぐに後ろを向いた。
(……はは。わ、悪い)
喧嘩別れをしたルミナとの間に、再び喧々とした空気が流れたと思われたが——彼女は既に、吹っ切れていた。
「……私、戦うこと決めた。泣いていても始まらないって、もうわかったから」
(そうか……それなら、よかったよ)
前向きに言い放つルミナ。しかし彼女には、まだ一つ懸念があった。
「でも、あなたの事——まだ、完全に信じたわけじゃない……」
彼女の意見はごもっともだった。俺も同じく、その不安を抱えている。
(わかってるよ。——転生者の事だろう?)
——皇帝の口から聞いた転生者という言葉。その転生者と呼ばれる俺が、なぜこの世界に存在するのか。
奴の示唆した情報によると、この体は、転生魔法によってできた状態らしい。
ルミナは、この天の声の存在を聞いたことがあると言っていたが、何か関係があるのだろうか……。
「俺も、よくわかっていないんだけど——でも大丈夫、俺なりに調べてみるよ。だから、もう少し時間をくれないか?」
俺はルミナに——強がりを言った。
わからないことだらけで、不安に駆らているのは、彼女も同じだ。
これ以上彼女を追い詰めるわけにはいかない。
「……わかった」
背中で言い残しその場を後にするルミナを、俺は真っ直ぐな目で見守る。
彼女の期待を裏切らない自信はあった、なぜなら俺には——まだ当てがあったから……。
——やるべき目標に向かって、闘志の炎を燃やしていると、俺の横から優しく呟く声が聞こえた。
『——素敵な人ね……ルミナさんって』
(マリラ⁉︎ もう、平気なのか?)
いつのまにか、涙を拭い立ち上がっていたマリラは、俺と共に彼女の背中を見送っていた。
『私も、あの人と一緒に——戦うわ』
(戦う⁉︎ 突然、何を……)
いつになく過激な発言をするマリラに俺は驚くが、彼女は小さく拳を握り微笑んでいた。
『ルミナさんは、私には癒す事ができなかったレオンの心を、癒してくれた——』
握った拳を開いたマリラは、その手に緑色の光を灯す。
『だから今度は、彼女の心の痛みを——私の手で癒してあげたいの』
マナの光に照らされた彼女の顔は、いつになく力強い表情に満ちていた。
(……そうか、それがマリラにとっての、戦いなんだな)
『ええ。私にも、まだできる事があると思うから——』
——下を向いて、涙を流していたって、何も変えられない事を知った、ルミナとマリラ。
こうして、痛みを乗り越えた二人の戦士は——それぞれの戦いに目覚めるのだった。
ご愛読ありがとうございますm(_ _)m
今回は、愛によって傷ついた二人が、ようやく戦いへと目覚めるという章でした。
次回!
第三章 出会いと共に 開幕!
ルミナも、ルキも、カガミも……。
彼らに、まだまだたくさんの出会いが待っております。
そして、クライマックスは第四章に……?
ってなわけで、お次は金曜日!
見逃し厳禁!
白銀鏡でした。




