第227話 BBQ。10 ※柚子ちゃん視点
私は沈黙を貫いたままでしたが、店長さんは私が告白するのをやめさせたいようで、説得を始めます。
「うちってさ、俺はあれかもしれないけどさ……めっちゃいいやつ多いんだよ」
……自分のことは諦めて他の人に行けっていう意味でしょうか……。
「あざらしとか、普段なんかポケーっとしてて何考えてんのか俺も全然わかんないやつだけど、根は真っ直ぐで良い奴なんだよね。柚子ちゃんとも会話のペース的に意外に合うかもしれない」
「…………」
「バカは……まあ……いいや。……七海ちゃんだってさ、同じ女性同士でさ、そんなに柚子ちゃんと喋ってる光景みたことないけど、案外気が合うかもしれないしさ」
……私は男性の方が好きです……。
「あかっちは……性格はサイコパスじゃん?でもさ、あいつも案外面倒見のいいやつでさ、俺に対してはあれだけど後輩思いのところがあって、仕事もできるし、頼れる奴だと思うんだ。それにあいつ外見はかっこいいだろ?女の子からしてみれば魅力的なやつなんじゃないか」
……そんなの知ってます。でも、私は店長さんのことが……。
「と、とにかく俺のことはあれでも、他はめっちゃいいやつがいるんだからさ!一度考え直してくれよ!!!」
「ふ……」
「ふ?」
「ふ…………ぅ……ふざけるなぁー!!!!!」
「…………ちょっ!ちょ!柚子ちゃん!?」
私の心の中の何かが爆発したように、怒りに身を任せてせっかく書いたラブレターをびりびりに破り捨てます。
「ばかー!!!!!!!店長さんのあほー!!!!!」
「…………え、ちょ……柚子ちゃん……え………喋って……」
感情が抑えきれず、店を勢いよく出ていきました。
……もう知らない。大嫌い。




