第222話 BBQ。5 ※店長視点
「この川の水美味いなー!これがBBQかー!」
「お兄ちゃん!まだBBQ始まってないよ!でもお兄ちゃんが飲んだ川の水だから私も飲むぅー!!」
「あざらしは飲まないのですよ」
……はぁ。今いるメンバーカオスすぎる。
あかっち。柚子ちゃん。七海ちゃんを除く、残ったメンバーでBBQの準備をすることになったのだが……なんだこの普段見慣れない組み合わせ。……しかも3人とも遊んでて、誰も準備手伝わねえし。
俺の店長という立場は一体どうしてしまったのだろう。
「あざらしは早くお肉食べたいのですよ」
「うっせえよ。そういうならお前も手伝え」
3人で川で遊んでいたかと思いきや、あざらしが戻ってきて声を掛けてきた。
「あざらしはこの日のために食材を買ってきたのですよ」
「え?柚子ちゃんとあかっちが全部用意する流れだったんじゃねえの?まあ買ってきてくれたんなら金は出すけどさ」
「あざらしは食材として宝くじを買ってきたのですよ。これで一攫千金狙うのですよ」
「お前ぶっ殺すぞ」
そんなこと言うならマジで宝くじ焼いたやつ食わすぞ。
「わ、わかったのですよ。でも、もう一個の食材はキチンとお金を出してほしいのですよ」
「何だよ?ちゃんと食い物なんだろうな」
「仮想通貨なのですよ」
「物ですらねえじゃないか!!!」
なんでこいつこの機会に俺を利用して金儲けしようとしてんだよ。
「ダメなのですか……?ショックなのですよ……」
「ショックもくそもあるか」
「何盛り上がってるんですかー!?店長ー!」
ややこしい状況にバカまでこっちに来て会話に参加してきた。よりややこしくなるからやめろ。
「あざらしは食材を持ってきたのに奢ってくれないというのですよ……」
「え?じゃあ僕が金を出そうか?」
「え!?いいのですか!!」
「出さなくていいって!!つか出すな!ボランティアクビにするぞ!!!」
「そんな……。ごめんね。あざらしくん」
「店長は悪魔なのですよ……」
「お前のがやってること悪魔だわ!」
あざらしの頭を軽く叩く。こういう理解のないやつには暴力だ!容赦なく暴力だ!
「……あ!!!そういえば僕も食材持ってきましたよ」
ふと、思い出したかのようにズボンのポケット探るバカ。
……全く良い予感がしない。
「お前は何持ってきたんだよ」
「……あった。これです。石です」
「……??石……?」
「はい。平べったい石です」
「お前らマジでぶっ殺すぞ」
改めて思うが、うちのメンバーまともなやつホントいねえ……。




