第157話 三人目。3
「とにかくあざらしを雇ってほしいのですよ。めっちゃ活躍するのですよ」
「……うーん……」
正直人手不足だから働いてくれればもう誰でもいい感じはするが……。どうしたもんか。
「あざらしは色々と便利なのですよ。役に立つn…………」
「ん?」
「…………」
「え、ちょっと」
あざらしは話している途中に急に下を向いて黙りこんでしまった。一体どうしたんだ。
「…………」
「もしもーし……」
「…………」
「……おーい!」
「ふあ!ここはどこなのですか!?」
「お前寝てたのかよ!」
こいつすげえな。面接中に寝るって何なんだよ。面接来る前にカラオケオールでもやってたのかよ。
「……どうやら寝ちゃったみたいなのですよ」
「そりゃ正面で寝ていく様を見てから知ってるわ!」
「自慢じゃないですが、あざらしは睡魔には勝てないのですよ」
「何の自慢にもなってないし、睡魔には勝てあざらし!」
「いやぁー、とても楽しい夢を見たのですよ。そこにいる人が夢に出てきたのですよ」
あざらしは俺のツッコミを完全に無視して、かっこつけて窓の外を眺めているあかっちを指差す。それまで空気だったあかっちも急に話題に出てきてビクッとしている。
「えっ?俺の夢?」
「そうなのですよ。仕事を優しく教えてくれたのですよ。めっちゃいい人だったのですよ」
「……店長、この子良い奴っすよ」
「お前単純かよ!」
「そうなのですよ。あざらしは良い子なのですよ」
「自分で言うな!!!」
なんか面接してる感がどんどん消えていく。初めからそんなものがあったのかと言えば疑わしいが。
「もうこの子を雇っちゃえばいいじゃないっすか?」
「ほんとお前適当なこと言うな」
「まあ採るだけ採ってバカ先輩みたいに使えなかったらクビにしたらいいんすよ」
「発言がブラック企業すぎてドン引きしたわ!」
あかっちって根は良い奴なんだろうが、発言がゴミクズすぎて流石の俺でも嫌悪感抱くわ。……しかしながら雇ってみないとわからない部分っていうのもある。柚子ちゃんも現に面接の時はふぇーしか言わなかったけど真面目に仕事してくれているしな。……まあ変に考えても仕方ないか。
「……あーもういいや。来週の日曜日って予定空いてる?」
「空いているのですよ」
「じゃあその日またうちの店に来て。メモとペンがあればいいかな。服装は派手じゃなければいいし」
「了解なのですよ。よろしくおねがいしま…………」
「…………起きろあざらし!」
こうしてまたうちの店に変なメンバーが入ってきた。




