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第132話 まっく。4

 ――なんだろう。普段とは違い、立場が逆転しているせいか、なんとも言えない気まずい雰囲気。……こいつここで働いてたのかよ。うちの店に来てハンバーガー注文する意図ってマジでなんなんだよ。様々ツッコミが俺の頭の中をグルグルしているが、気にしたら負けだと思う。さっさと注文して柚子ちゃんとのデートを楽しもう。


「えっとじゃあ、ハンバーガー一つ」


「当店では取り扱いしておりません」


「はあ!?」


 まさかこいつにこんな事言われるとは思ってもいなかった。マックでハンバーガー売ってないとか、コンビニで缶コーヒー売ってないぐらいありえないことだよ?……っつかこれ俺だと気づいて嫌がらせしてるだろ。


「代わりに新商品のハンバーガーが、キャンペーン中ですがいかがでしょうか?」


「……キャンペーン?」


「はい。現在新商品の名前が、ほくほくじゃがいものバター醤油ソースの効いたチーズジューシーバーガーで仮決定しているのですが、名前が長すぎるため、このハンバーガーの名前を募集するいうキャンペーンを行っています。ですので、お好きな名前で注文してください」


「へぇ……」


 こいつ……真面目に店員やってやがる。さっきのハンバーガーがないとか訳わかんない嘘を付いていたのは、新商品を勧めるためだったのか。頭がおかしい野郎だと思っていたが、仕事はちゃんとやっているようだ。


 しかし好きな名前で注文って少し恥ずかしいな……。こういうキャンペーンって面白いと思うけど、変な名前を付けて、店員に裏で笑われてそうとか考えてちゃうんだよな。


「値段も現在300円と大変お買い得ですがいかがでしょうか?」


「えーと……じゃあせっかくだしその新商品を一つ」


「は?」


「はじゃねえよ!」


「いや……あの……名前つけてもらわないと注文できないシステムなんで」


「なんだよ、おい!じゃあなんだ。その……ほくほくじゃがいもバーガーをくれ」


「……ほくほく?」


「その……ほくほくじゃがいもバーガーを……」


「じゃがいも……?」


「いやだから!新商品のほくほくジャガイモバーガーをくれって言ってんだよ!!!」


「……適当にじゃがいもをぶち込んだやつを提供すればよろしいですか?」


「名前つけろって言ったのそっちだろ!!」


 訂正。やっぱり頭おかしいやつだった。

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