第109話 たばこ。7
「…………いや、お兄ちゃんそれたばこだよ!!!」
「うん、そうだよ」
この子がほしいのはきっとこれだよね。たばこがほしいって言ってたよね。
「たばこは未成年が買っちゃいけないってハゲが言ってたもん!」
「たしかにそうだけど、今回は特別にいいよ」
「いいの……!?」
店長はいつもお客様を第一に考えろっていうしね。
「うんいいよ。1個でいい?」
「いや……だめだろ!!!俺は小学生だぞ!!!たばことか吸ったら危ないじゃん!!!」
「んー?たぶん大丈夫だと思うよ?」
「いやいや!危ないって!ガンになっちゃうかもしれないじゃん!」
「あのね……お兄ちゃんのが長く生きてるんだよ?」
「うう……俺が間違っているのか……?」
小学生に信用してもらえないなんてちょっと悔しいな。たぶん大丈夫なのに。
「もしお金があるなら、せっかくだしカートンで買う?」
「そ、そんなお金今は持ってきてないよ……」
「じゃあ今回は特別にカートンで買っても410円でいいよ」
「そ、そんな簡単に値下げしていいのか!」
「あのね……僕は店員だよ?値下げぐらいできるよ」
「いや…………店員でも、勝手にそんなことしたらダメなんじゃないのか!!」
「いいよいいよ。店長はいつもお客様を第一に考えろっていうしね」
「……そ、そういう意味じゃないと思うぞ!!」
「子供の君にはちょっと難しい言葉だったかな?それでどうする?買ってく?」
「……わぁー!!!!今日はもう帰る!!!!」
あれ……帰っちゃった……せっかくだから買っていけばよかったのに。




