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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
33/102

会議は踊る

シーリアの、兄フェルナンデスの視点になります。

セルジオ王国の会議室は重い空気に包まれていた、隣国の王家が次々と消滅したのだから。


「ヒステン王国に関する報告を読みます。」

フェルナンデス・デ・デュバルが紙を広げた。


すでにクーデターの話は皆が知っているが、詳細情報を望んでいた。


「ヒステン王国にクーデターが起こり、わずか一夜でヒステン王国崩壊、王と王族全てが処刑され、我が国に留学中の第3王子リチャード・ヒステンのみが生存の状態であります。

第3王子の処遇の対応は、後で議論するということで、報告を続けます。


マクレンジー商会によるクーデターでありました、ご存じのようにマクレンジー商会の私兵隊は世界最強との呼び名も高く、準備も周到に用意されていたようで、クーデター後の混乱もさほどないようです。

元々、ヒステン王国では、国の機関よりも、マクレンジー商会の方が、国民と結びつきが深く、信頼されていたようです。

リヒトール・マクレンジー夫妻が帝位に着くとのことです。」


「リヒトール・マクレンジーは結婚していたのか!?」

陛下が驚いて、確認してきた。

言いたくないなぁと、フェルナンデスは思いながら、口を開いた。

「最近、結婚されたようです。」

自分たち家族が祝福して結婚したのだ、マクレンジーの側近達とデュバル公爵家だけが見守った。


「続けます。

リヒトール・マクレンジーが皇帝、シーリア・マクレンジーが皇妃、まだお子はないので、このお二人が皇族全てとなります。」

「まってくれ、シーリア・マクレンジーだって!?まさか、銀の髪とかではないだろうな。」

アラン王太子が声をあげた。


「そのまさかであります、ご想像のとおり、容姿を聞く限りでは、行方不明の我が妹の可能性はあると思われます。」

シーリアは失踪後にヒステン王国に行くまでが秘密だ、その後は公表可能との元々から打ち合わせである。


ブリューダルの聖女は、皆がわかっていても、確定を出さず曖昧で終わらせるのがいい。


しかし、クーデターを起こすつもりであったとは、想像もつかなかった。

これがわかっていたなら、父は妹を嫁にだしたであろうか、父が許さなくとも妹は出ていっただろうが。

例え、ヒステン王国に入っても、こんな風に公にならなければ、存在をわざわざ発表する気はなかった。


婚約解消後直ぐにシーリアが国外に出たということを隠し通さなければならない。デュバル公爵家が王家を裏切って結婚させたことは永遠の秘密だ。

アランが婚約破棄というバカをしたが、王家がシーリアを望んでいたのは、わかっていたのだから。


「どういう経緯があったのか、わかりかねますが、光加減で薄いピンク色に見えるシルバーブロンドだそうなので妹である確率は高いかと。」

「ダメだ、リヒトール・マクレンジーなんて女癖が悪くって有名じゃないか、ダメだ、ダメだ。」

アラン、おまえが言うなよと思いながら、フェルナンデスはため息がこぼれでる。

「殿下、それは後にして、まずはクーデターの件を進めてよろしいでしょうか。」

「ああ、すまなかった。」


「クーデター時、多くの貴族、武官、文官が協力したもようで、これはブリューダルの革命と同じ形態であります。市民による革命であれ程の力と迅速さ、驚きましたが、後ろ楯にマクレンジー商会があったなら理解できるかと。マクレンジー商会も隣国の憂いなくクーデターするために、先に革命を起こしたと推測されます。

結果、連邦はマクレンジー帝国の属国に近い関係であると。


近いうちに、連邦は世界の穀物庫となるでしょう。今までは豊土で天候にも恵まれながら、政治の腐敗によって国民生活が脅かされてました。マクレンジー帝国の指導が入ると収穫率の向上、流通経路の簡素化は間違いないことでしょう、低価格で他国を圧倒するということです。

我が国の農作物も打撃を受けると推測され、関税の検討を近々の議題に上げることになります。


マクレンジー帝国は、元がマクレンジー商会ですから、国と別にするか、国自体を商会と一体化するか、これからの注意すべき最重要であり対応が早急に必要であります。


商会の流通網を使って、国内の安定、外交が行われるのは間違いないと見受けられます。


我が国にある、マクレンジー商会の支店が大使館になった場合の問題点が多々あるので、これも議題になります。


クーデターの報告は、以上で全てあります。まずは第3王子の処遇の議論から入りたいと思います。」


宰相である父も、王も王太子殿下も表情が硬い、クーデターの件でシーリアの名前がでたのがショックなんだろう。父はクーデターと聞いて覚悟していただろうが、シーリアは普通の女の子なんだ、クーデターの血塗れで混乱した現場にいるかと思うと心配で仕方ない。


リヒトール・マクレンジーはこれをどうするだろうか、第3王子がセルジオ王国にいることはわかっているだろう、彼の手腕を見てみたい。

そして、我が国は第3王子を守れるべきだろうか。僕は時期宰相として、この結末を見守らないといけない。

妹の為には、第3王子は危険だ、我が国にも王子に何の利点もない事はわかっている。


セルジオ王国が後ろ楯となり第3王子に王政復活をさせる方向もあるが、悪政の結果のクーデター、現政権はマクレンジーだ。やはり、そんな方向はありえない。

だが、我が国で殺されるという事があってはならない、父は、陛下はどう対処するのだろう。



アランも王太子を自覚した、恋愛よりも国を優先するだろう、婚約破棄でアランはバカをした結果、バカでなくなった。


6/1文字修正

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