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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
27/102

それぞれの戦い

主人公達以外にもそれぞれが命をかけて戦う、それが戦場だと書きたかったのです、敵にもそれぞれの戦場であったといつか書けるといいなぁ。

宮殿の中は混乱を極めていた。

逃げまどう侍女達、目の前で切られて倒れる兵士、血しぶきがあがる。

リヒトールの軍から数十名の兵士が離れた。


側近のポールが目配せをしてうなずいたのを確認して、各自散らばっていく、それぞれの任務を持って。

味方がわかるように、マクレンジー軍は目立つ腕章をしているだけではなく、暗号の認証呪文を使う。これはブリューデルの革命時に、敵側が倒れた味方の認証をはがして使ったことによる失敗からだ。




部屋の片隅で震えている侍女達に声がかけられた。

「助けてあげるから、こちらに来なさい。」

血に染まったマクレンジーの軍服だが、声も顔も女性のものだ。

「私達はマクレンジー商会のものです。これからこの国を制圧しますが、無抵抗の者には何もしません。」

クーデターの後の抵抗が少ない程、収拾が早く納められる、そこに女性の声が大きいことが革命でわかった。声かけの時に女性達の安心を得やすいように女性兵士がこの任務を負った。


侍女をはじめ、女性達の安全を確保する場所を何カ所も設定してある。一番近いところに誘導すれば、その後は警備担当が守ると、頭の中にたたきこんだ王宮の地図を広げる。

気を付けないといけないのは、侍女として紛れ込んでる間者などの手練れの者だ。

しかし、間者から他国に侍女などを丁寧に扱って余計な命をとることないクーデターだったと伝わることも重要だ。

持って帰ってもらいたい情報を与えねばならない。


国軍兵士が鬼気迫る顔で剣をかざして追ってきた、侍女達を背に庇い、たたき切る。

「きゃーーーー。」

剣を持った兵士の腕が転がる、

「騎士様お怪我は?」

侍女が聞いてくる、自分達を守ってくれたと認識したらしい。

女の自分でもこれか、吊り橋効果ってすごいなと思う。

「あなた達こそ、恐い思いをさせてごめんね。」とほほ笑んでみる。

「きゃーーー。」今度の悲鳴は狂乱の声だ、トーンが高い。

「騎士様もどうぞ御無事で。」

避難場所の部屋で別れる時はまるで恋人の別れのように泣きながら、お気をつけて、と言われて離れる。

さて、巻き込まれて大変な目に合う子がでないように、もっと探さなければと、こちらも情にほだされてしまう。




待っていたこの時を、国の事務秘書官として潜んで数年、仲間も増やし、隠し持っていた腕章をつけ、剣を持ち部屋を飛び出した。見ると、友人の補佐官も腕章をつけてる、おまえもだったか!

ニヤリと笑う、補佐官も返してくる、この戦いで命が無くなるかもしれない。だが、もう押さえていられない、この国を変えるんだ!




俺の任務は西の塔の確保だ、国の弓兵隊が来る前に足場を壊さねばならない、剣の音がする、すでに戦闘に入っているらしい。俺より早く駆け付けるヤツがいるとは大したもんだ、

「遅くなった。」

「いや、助かる、こちらは人数が少ない。」

離れていた敵兵が弓を構えようとする、バカかこの距離はタガーの方が早い、と思った時には投げていて、敵の胸に突き刺さっていた。

「すごいなアンタ、部署は?」

「要人警護1だ。」

「うわ!憧れだよ!」

やばい、やる気がますます出てきた。




抵抗する者は全て切るように命じられている、例え女子供でも。

「全ての責は私にある、躊躇することのないように。」

リヒトール・マクレンジーは全軍の前で言った。

一瞬の迷いが命をかける、ここは戦場だから。


俺達の任務は弾丸に火をかけること。

それはあっという間に爆発する、専門に訓練された俺達のようなものでないと逃げきれない。

扉の前の警備兵を倒した瞬間には扉の中に火種を投げ込んでいた、同時に反転して駆ける、遠くへと。


一瞬垣間見た倉庫には数百もの敵兵がいた、兵だけではなく下働きの子供もいたかもしれない。俺達の仲間が武器の場所をずらしてあったので時間がかかっていたらしい、俺達には正確にわかっていたが。

出動するために弾丸を充填してたんだろう、倉庫は派手な音をたてて吹き飛んだ。


これには敵も味方も気が付くだろう、敵には援軍が来ないと絶望の音になるだろうか。


5/26文字修正しました。

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