未来のための刹那
「おとなしく引き下がるなら追撃はしない…」
「俺の目的はアサヒを無事に返すこと…大人しく引き下がらせてもらう」
オリーブはゆっくりとアサヒの体に触れると一瞬にして闇の中へと消えていった。ユイトはそれを見届けた後、残った新人類達を片付けるために戦場を翔った。
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「なんだ!!この魔力の雨は!!」
パ・スミレは突如として現れた空の色を変えるほどの魔力の雨に困惑を隠せずにいた。まるでそれを嘲笑う様にガロンは言い放つ。英雄が帰ってきたんだと。その時大量の雨が止集結界に降り注ぎ、あっという間に止集結界は砕け散った。ヤヨイはポケットから小さなブレスレットを取り出して腕に通す。そして地面に落ちたガロンの血をブレスレットにつける。ガロンは左下と右上の手に雷豪を作り出し切り掛かった。大きな隙を作ってしまったがことに気づき、咄嗟にみをかわしたが、パ・スミレの右腕は肘辺りから切断された。もう一本の雷豪はパ・スミレの左足の太もも辺りに突き刺さる。
『黒憐天満宮ッ!!!!』
追撃を加え、パ・スミレにトドメを刺そうとしたその時奴の魔術がガロンを襲う。奴の足元から魔力がどっと溢れ出て、辺りを飲み込み破壊する。ガロンは咄嗟に電糸を使い周囲の人々を中に吊るす。だが、そのせいでガロン自身は間に合わずに魔術に飲まれそのまま地面の中へと消えていった。
「まずは一人…次はてぇめぇらだ!クソガキどもが!!」
「ガロンをどこにやったの!!」
「今頃俺の黒憐天満宮の中でチリになってるだろうな!俺の魔術は無限の質量をこっちの世界に流し込むための扉を作る術!!無限の質量の前には争う術はないんだよッ!!」
「────ふ…アハハハッ!」
「何が面白いッ!!」
「あんた相当なバカだね!それとも何百年も生きているからボケたのかな?」
ヤヨイは高笑いをしながらパ・スミレを煽る。その場にいた全員が困惑しているとヤヨイは指を刺しながら言い放った。
「”これ”見えない?」
指の先には”電糸”がある。そうあるのだ。魔法も魔術も発動者が死ぬと必ず解除される。奴の説明が正しいのならガロンは生きていることになる。だが、生きていようと奴はこっちは来れないと今度はパ・スミレが高笑いをした。
「それが来れるんだよなぁ…!さぁやっちゃって!ガロンッ!!!」
ヤヨイがそう言うとブレスレットから光が溢れ出し、光の中からガロンが出てきた。
「了解ッ!!『電気鰻!』」
ガロンは右上の腕からとてつもない速さの螺旋状に回転する電気を放つ。まっすぐに伸びた電撃は、奴の体を締め上げる。
「魔法は本来同時に発動できない。なぜなら脳の処理が追いつかないから…だが俺は普段から腕が4本。今は2本ない。つまり余裕があるんだ。だから!!魔法の同時発動が出来るんだよ!!」
パ・スミレは消え掛かった意識の中最後に見たのは悪魔の様な姿をしたガロンだった。
『雷豪ッ!!!』
パ・スミレの体をガロンの方へとてつもない速さで引っ張り、そのまま胴体を腰辺りから首筋にかけて斜めに切った。切られた事で胴体が二つに分かれたパ・スミレの方を見ると彼はもう目は強力な電撃により機能を失い、もう何も映さないと言うのに彼はこちらをゆっくりとこちらを向いてニヤリと笑う。
「い…しょに…いこ…ぜ……地獄にッ!!!」
パ・スミレは自身の体を媒体とする事で、本来は自身の足元半径30センチ以内からしか扉を作る事は出来ないが、自身の体の分…175センチ分の扉を開いたのだ。先ほどのは数十秒。さらに60センチの扉だったが、今度のは数倍。しかもいつ終わるのか分からない。絶望に浸る暇すらない数秒後にはすべてが飲み込まれるのだから。




