鏡からの試客
キラキラと光る水辺にアサは立って彼らを見つめる。
「あら……アサ様!おはようございます、今日は一段と綺麗な朝日です……何かあるのですか?」
「えぇ…その────」
「そうですか……またここが戦場に…」
ミズナは悲しげな顔を一瞬するが、すぐに取り払い、普段通りの顔を作る。
「え?でもそれはおかしくない?」
ヤヨイは一通り話を聞いた後、疑問を投げかける。
「だってあの時ユイトは和神教にコーリウスの石を渡したんでしょ?だったら奴らがまた狙うのはおかしくない?」
「おいおい前にも説明しただろ?」
ガロンは呆れながらもう一度説明する。ユイトはあの時少しでもいいから時間を稼ぐために偽物を渡していたのだと。時間が欲しかったのは作戦を練るのと他の隊に応援を呼ぶためだ。だが、奴らが集まりユイトは殺された。それからのゴタゴタでうやむやになったが、奴らの手にはまだコーリウスの石はないのだと
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アサは国の中央にある展望台からタイテンを見渡す。復興も進んでいたこの国が、また更地となることに今まで感じたことのない複雑な感情を抱いていた。アサは思わずため息を吐いてしまう。空はこんなにも美しいのに、人々はそれに気づくことなく、地下へと避難する。泣き喚く人。自暴自棄になる人。怒りを露わにする人。
あぁなぜあの時ユイトが一人で奴らと交渉しに行ったのかが、よく分かりました…大変な思いをしたこの人達にこれ以上こんな思いをさせたくなかったからなんですね…
アサは手に持っていたコーヒーを口に流し込むように飲む。その時、そうその時奴らは現れたのだ。
────!!この魔力はアルファルクのミラオレンス!!奴らが来たんだ!!
アサの瞳には東西南北からゾロゾロと現れる和神教が映る。アサは展望台にある鐘を鳴らし、各地にいる仲間たちに奴らの出現を告げる。
ゴォォォォゴォォォォゴォォォォゴォォォォ!!!
アサの鳴らした鐘の音色は国中を激しく貫くように響き渡る。
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「ねぇガロン…この音は…」
「あぁアサからのメッセージだな…」
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「─────どうやら奴らが来たみたいですね…ジック行くのです。頼みますよ…」
「はい。仰せのままに…必ずやこの国をお守りいたしましょう…私の通り名《白の残像》の名に恥じぬように…」
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一人の少女は首にかけているペンダントを強く握る。
「ユイト…私頑張るから……見ていてね……」
ポツリとつぶやかれた少女の言葉は戦火の火蓋が切られたと同時に消え去った。




