青空へと飛ぶ黒い翼
「そう。もう行くのね…」
ミモザはユイト達が旅立つことを知り、モンサーに何かを取りに行かせた。
「あなた達は”魔術はどこまで出来る”と思っている?」
ユイトは突然出された質問に驚きながらも自身の考えを語る。
「魔術は元々魔物、魔族、魔獣達が使う魔法です。そしてそれを人が扱えるように真似たのが五大人魔法。つまりは出来ることには限界があると考えています。火の魔法から水が出ないように、例えばグリオスの持つ方向転換の魔術は向きは変えられても突然マグマを出したりは出来ない。そう考えています」
それを聞きハルマも頷く。ただ意外なことに彼女はさらに質問を出した。それは魔術で”時を越えられるのか”と言うものだった。ユイトは考えたこともないことに頭を悩ませていると今度はハルマが自身の見解を話す。
「確かに現実離れしているけれど”それが出来る能力”なら出来る…と俺は思っています」
「そう。その考えを忘れないで…今から渡すものを扱うにはその”出来る”と言う思い込みが大切だから…」
まるで見計らっていたかのように現れたモンサーの手には二つの小さな箱が握られていた。モンサーは二人に一つづつ手渡しし、開けるように促す。
「これは……指輪?」
「それも魔道具の?」
ユイトとハルマは疑問が口からこぼれ落ちる。
「それは私が作った世界に二つだけの魔道具…《誓いの指輪》…あまり時間がなくて完成品は一つしか作れなかったからハルマ君のはプロトタイプになってしまったわ」
「いえいえいただけるだけで嬉しいです。所でこちらの《誓いの指輪》はどのような力が…?」
「この指輪には三つの能力が入っているわ…超高速飛行機構…超中長狙撃機構…超近接戦闘機構…それぞれ圧倒的な力を授けてくれる。代わりに発動時間は5分しかない。今タイテンは奴ら和神教による攻撃を受けている…もう分かるわね…《ヤタガラス》を使えば3分もあればタイテンに着く。行くなら必要でしょう?」
そんな…僕がここにいる間に…タイテンまで…いやまだ落とされてはいない!早く行かないと…!!
「ありがとうミモザ色々と助かった…最後に一つ聞きたいんだけれど…あの日アイをアサヒから助けてくれたのはミモザなんだよね…ありがとうアイを助けてくれて」
ユイトがそう言うとミモザはなんだか複雑な顔をしながら早く生きなさいと諭す。ユイトは頷き、指輪に向けて呪文を放つ。続けてハルマも呪文を放つ。
「「《ヤタガラス》」」
二人は眩い光に包まれる。その光から現れた二人の背中には大きな黒い翼を2枚、一回り小さい黒い翼を2枚が生えていた。
「それじゃあ行ってくる」
「頑張りなさい…」
ミモザは飛び立つユイトに何かを言おうとしていたが直前で言うのをやめ、うっすらと微笑みながら二人の旅立ちを見届けた。




