二人で一人の元英雄
「僕が眠っている間にオータスが封印されていたなんて…」
「あくまで今話したのはホーリーが奴らに落とされた最大の原因よ。他にもたくさんの国が奴らによって大ダメージを受けているわ。ただまだ落とされたのはホーリーだけ」
「なら早くホーリーに行ってホーリーを取り返さないと…」
「今のあなたが行った所で無駄死にするだけよ。あなたがするべきことは祠に行ってエクスアップを治す。そしてみんなを助けること。あなたが生きているとしっただけで救われる人は確かにいるわ。それを忘れないで欲しい」
「みんなを…助ける……はやく最後の祠に行かないと…」
「えぇそうね。ただ一つ気をつけて欲しい事があるの。それは彼の前で決して助けると入った言葉は言わないこと。必ずそれだけは守って…」
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暗い部屋にある封印された扉を開けるのも慣れた手つきで行うユイトの目に飛び込んできたのは壁に寄りかかりながら座っている一人の少年だった。ユイトは何度も魔物や魔族と戦ってきたからよく分かる。彼は正真正銘の人なのだと。
「君がここの…」
ユイトは確認するように彼に聞くが、彼は消え掛かった瞳で見つめるだけだ。ユイトはゆっくりと駆け寄ろうとした時、急に彼が口を開く。
「その線よりこっちに来るな!!!」
力強く発せられた言葉に、それまでユイトが彼に抱いていた印象を一瞬で覆した。ユイトは驚きつつも線より後ろに下がる。
「君はなんで封印なんでされたの?」
ユイトの口は気がつけば気になっていたことを勝手に聞いていた。
「いやちがう……俺は自分で祠を作り、ここに自分を封印したんだ」
ユイトが想像すらしていないことをすらっといい放った彼は付け加えるように消えそうな声でつぶやいた。
「そうしないとまた人を傷つけてしまうから…」
深緑の髪からチラリと覗かせる光を失い、黒ずんだ黄色の瞳はとても人の物とは思えずユイトに意思疎通のできる人型の植物なのかと思わせるほどだった。
「それで線を…ここに眠って何年だ?」
「そうだね……多分500年くらいじゃないかな」
「もしかして君が500年前にサバラウザと腐食の剣士、血涙の女神像を封印したの?」
ユイトは祠の作りが一緒だった事を思い出し、彼に聞く。その返事は想像通りだったが一つだけ引っかかる。
「制御できない…?」
「あぁあくまで俺の力はもう一人の俺の力…俺じゃ制御することが出来ない」
「そうかそれで……なら僕ができる限りのことをしたい。何か手伝えること「言ったな?」」
彼の瞳の中に四つの輪が浮かび上がり、瞳は赤黒く変色していく。
「やはり直に吸う空気は美味いな…貴様が俺を起こしたのは…まぁよいまた目の前に広がる血肉を見ればコイツも心が折れるはずだ…楽しみだ」
奴はとてつもない速さでユイトを殴り飛ばそうとしてきたがそうはならず、お返しにアッパーを食らった。
「お前…中々楽しめそうだな」
「それはどうも」
『回斬拳ッ!!』
『魔岩ッ!!』
二人の魔力のぶつかり合いは祠全体を激しく揺らし、耐えきれずに地面にヒビが入るほどだった。
土煙が消えるとそこにはユイトだけが深刻なダメージを受けている姿があった。
「俺をがっかりさせるなよッ!!!」
奴は再び激しい拳の雨を降らせた。




