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人神奇譚  作者: いかのてんぷら
第四章 希望の虹の先に
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蘇る英雄

昔にアイとした会話が栓を外したのか、はたまた度重なる生死を彷徨うほどの戦いのせいなのか、次々と失っていた記憶が蘇った。楽しかった記憶。辛く悲しい記憶。心を通わせた仲間との出会い、旅の記憶。そして心から愛する人との大切な記憶。その全てを思い出したユイトの瞳は以前とは違い、生き生きとし輝かしい光を放っている。美しい瞳が女神像を力強く見つめると奴もまた洗脳が解けたことに気づき、再び光輪から無数の攻撃を繰り出すが先ほどとは違い、焦りが垣間見えるほどに荒々しく豹変していた。 


それもそのはず。奴は”愛を知らぬもの、温もりを知らぬもの、愛することができぬもの”からは一切の攻撃を受け付けない。その力を得る代わりに奴はそれらのうちの一つでも知っているもの。出来るものからの攻撃は絶大なダメージとなるように自身にルールを定めている。だが奴はルールの抜け道をあえて作っており、それらを知っているものには洗脳し、命と魔力を捧げさせる。そうすることで、奴は今まで事実上の無敵を作り出していた。がしかし、ユイトはたった今奴の催眠を破り、意識を取り戻した。理屈なんてものは何一つとしてなく、破ったのはユイトの強いアイを思う気持ちだけであった。

 

ユイトの体は狂ったように押し寄せる奴の攻撃に何度も何度も体を打ちつけられるが、その度に叩きつけてきた腕に傷を付けていた。その成果はすぐに現れ、バギッ!!と痛々しい音と共に奴の腕は砕け落ちてった。ユイトはそれを見て次の瞬間には奴の顔の前に現れ、《雷人化》を発動し、お返しと言わんばかりに目にも止まらぬ速さで攻撃を始めた。 

 

拳一つ一つが奴の体に触れるたびにヒビを入れ、魔力を吸い取っている。だが、奴は今日まで封印される前に、500年間も人々から命と魔力を奪ってきた魔族。たった数万発程度の打撃では完全には吸い取れず、疲労が見え始めたユイトに対し、奴は胸に当てている両手を動かしユイトを一瞬で捕まえる。捕まえたユイトの周りに巨大な魔法陣が5つ現れ、最大火力を放とうとしていた。依然として両手はしっかりとユイトを押さえつけており、このままユイトを塵にしようとした。 

 

だがそれが奴の決定的な敗因となった。 

 

『魔岩』 


呟くように、それでいて強く発せられたその言葉と共にあわれたバレーボールくらいの大きさの岩の魔球に奴の両手は吸い込まれ塵となった。続けてユイトの周りに滞在していた5つの魔法陣は少しの抵抗を見せるものの、やはり吸い込まれ塵となった。女神像は完全に恐怖し、光輪から再び無数の腕をあらわにしたが、再生が間に合っておらず、引っ張るような形で奴を魔岩に近づけることとなった。今更ながらに光輪を消し、後ろに逃げようとするが、すでに足は吸い込まれ、塵となっていた。肘までしかない両腕を使い這いずり回るが、だんだんと体が中に浮き、体が割れ粉々になりながら魔岩の爆発に巻き込まれ、完全に消滅した。 


全てを見ていたユイトは奴のことなど眼中にはなく、ただただアイの無事だけを祈っていた。 


首から垂らしている青色の魔回のペンダントを強く握りしめながら…


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