雷人
消えゆく意識の中ユイトはたった一人の女性の事で頭がいっぱいだった。
誰なんだこの人は?忘れてはいけない大切な人…アイ…!!この人の名前はアイ。僕の記憶の根幹にいる人!会いたい。会ってはなしてみたい。守りたい。守り切るまでは死ねない!!
それはまるでユイトの決意を汲んだかのようにユイトの体から黄色い閃光が迸り、止まりかけていたユイトの心臓を激しく動かした。身体中に電流が走り、死滅しかけていた細胞を蘇らせ、ユイトは血溜まりに横たわった体を動かし、奴の前に再び立ち塞がった。辺りには無理矢理動かしている心臓の音が響き渡り壁や地面すらも震わせていた。
「悪いがまだ死ねない…だから…お前を殺す!」
ユイトの体から電気が一気に放出され、ユイトの体を包むかのように纏わり付いた。ユイトは一気に間合いを詰め、マクマを殴り飛ばした。その速さは、その一撃は先ほどとは全く変わっていて防勢一方だったユイトと攻勢だったマクマの関係を一瞬で逆転させるほどだった。ユイトは勢いに乗り、とてつもない速さでマクマに攻撃を繰り出していた。いくらユイトが強くなろうと、強力な腐食には敵わない。殴れば殴るほどユイトの手は腐り、ドロドロと垂れ落ちていたがユイトは手を緩めることなく殴り続け、地面に叩きつけた。
「これで終わらせる!『魔────
ユイトがマクマにトドメを刺そうとした時マクマの体中から大量の斬撃を繰り出した。その勢いは辺りの地面を抉るように切り裂き、あたりを一気に腐らせた。マクマはその隙に体制を整え、再びユイトを切ろうとした時強烈な殺意と濃い魔力に気がつき、後ろを振り向くとそこには左手を犠牲に魔岩を作り出したユイトがいた。
────岩ッ!!!』」
左手を犠牲にして放った魔岩は辺りを捻り潰すのかと言うほどの威力を持っていた。そんな魔岩をぶつけられたマクマの体は崩壊し、魔岩の激しい爆発に巻き込まれて消えていった。
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ようやく目を覚ましたユイトはよく知っているベッドに横たわっているのを肌で感じ、ゆっくりと顔を横に向ける。そこには慣れた手つきでリンゴの皮を剥くミモザとなんとかつまみ食いしようとしてミモザに叩かれているモンサーの姿があった。その光景に少しばかりの懐かしさと安心を感じたユイトは二人に話しかける。
「今回もまた助けていただいたみたいですね」
「えぇあなたはもっと私に感謝してほしいわ。まさか心臓は貫かれ、右手はドロドロに溶け、左手に至ってはまさか溶けてなくなっているとは思わなかった」
そう言うと切ったりんごを差し出して言った
「あなたはもっと体を大切にするべきよ」




