守るための力
「ユイトッ!!」
アサヒは瞳の星を輝かせながらユイトに向かって全速力で走り出した。
「アサヒッ!!」
黒いパーカーのように変化した魔力を纏ったユイトもアサヒに向かって走り出す。
『発炎手速ッ!!』
『魔岩ッ!!』
ふたりの右手と左手に現れた術が激しくぶつかり合い、とてつもない衝撃が辺りの建物を砕き、遥か彼方にふきとばした。
『焼炎槍ッ!!』
『土白雨槍ッ!!』
土煙を一瞬にして吹き飛ばすほどの速さの槍を両者は数えられないほど作り出し、相手に向けて飛ばし続けた。
ついに一本がユイトに刺さったと思った瞬間アサヒの脳裏に次の瞬間突然後ろから現れたユイトに首を切られると言う未来が見えた。
「見えているんだよッ!!」
「なら見間違えたなアサヒッ!!」
「なにっ───────!!!!」
後ろから現れたユイトを切りつけた後に横から現れたユイトによって蹴り飛ばされ、吹き飛ばされたアサヒは理解が追いついていなかった。理由なら簡単だ。変わるはずのない未来を見たはずなのに、ユイトは後ろからだけでなく横からあらわれたからだ。
「どう言うけどだ…?」
「やっぱりその力は完全じゃないんだな」
「どういッ!」
ユイトの言葉に苛立ちと困惑が混じった返答をしようとした時再び未来が見えた。それは先ほどよりより正確に、そしてより絶望的な未来だった。
完全じゃない!?どう言う意味なんだ!いや!今はそれどころじゃない!!どうすればあの未来は回避できる!?わからない…!!
「さよなら…僕の大切な友達───『巨爆魔岩』ッ!!」
ユイトが唱えた瞬間空から『土人形』によって作り出されたユイトが降って来た。だが、ただ降ってくるのではない。その腕に巨大な魔岩を携えて落ちて来たのだ。
くそっ!!この距離じゃナナにも攻撃が当たるからケーオフローガは打てない!それにクロノスの射程じゃ爆発で死んじまう!どうすることも出来ないのか!!
その時アサヒとユイトの目にはっきりと見えた。ナナの魔術の術の一つ『倍倍増』によってねずみ算式に増えたナナの姿が。
「ナナッ!!」
アサヒの声に気づいたナナはすぐさまアサヒを覆うように巨爆魔岩から守り切った。
「────ごめんユイト!!私がしっかりとしておけば!!」
「いや大丈夫だ」
どうする。巨爆魔岩は一撃がかなりデカい代わりに再発動にかなり時間がかかる。それに奴の神術…それもクロノスがかなり危険だ!ケーオフローガなら発動までの時間でアイのテラッサで何とかできるが、クロノスにはそれができる時間がない!
「アイは僕のサポートを!」
『魔岩ッ!!!』
「ナナは俺のサポートを!」
『発炎手速ッ!!!』
二人の腕が再び激しくぶつかり合ったが、わずかにユイトの方が上回り、アサヒを吹き飛ばした。




