地獄の業火に当てられて
「─────なるほどね。敗因はグリオスの能力を見誤ったことと、僕が間に合わなかったことその二つか」
「だがグリオスの能力が《方向転換》なんだったらオータス以外は誰も勝てないんじゃないか?俺の狙撃も落とされるし、ユイトの攻撃も逸らされるならどうしようもなくないか?」
「…いや前はグリオスが僕を和神教に誘っていた。だからそれを踏まえて大体前回は5分くらい時間を稼いでいた。奴の能力も、土地も知った今なら20分は戦えるそれに今いるメンバーではマイヌは絶対に倒せない。だからオータスはそのままマイヌを倒してくれ。トラはタリのサポートをして欲しい。」
「────分かった。ただし無理はしないでくれ」
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「…ユイトッ!!探したんだよ!本当に直ぐにいなくなっちゃうんだから」
一人で夜空を眺めていると後ろからアイが手を振りながら走ってきてそのままユイトの隣に座った。
「一人で夜空を眺める趣味があったなんて14年以上一緒なのに初めてしったよ。」
「いや別に無いけど………なぁアイ。俺は明日の戦いで死んで、明日の戦いは俺にとっては2回目なんだ。だからさわかるんだ。恐らくまた死んじまう。多分あと何千回やっても勝てない。だからさこのまま二人で逃げないか?なんのしがらみもなかったあの島での暮らしとまではいかなくても、どこかの村でひっそりと…な?だから頼むよ…………俺と一緒に」
ユイトがそこまで言い放ったところでアイがユイトを抱きしめる。
「──────辛い時は一人で悩まないの」
それはよく母がユイトに対して言っていた言葉だった。
「よくお母さんが言っていたよね?周りには困ったとき助けてくれる人が大勢いるって。私達がいくらユイトに言ってもユイトしか知らない苦しみがいっぱいあると思う。だから何があったかなんて私は聞かないから。今ここにいるのは私達だけだから、好きなだけ泣いていいよ。何時間でも悩みだって聞いてあげる。だからもう逃げようなんて言わないで。」
「…本当は…こわいんだ。」
アイを強く抱きしめながらユイトはゆっくりと語り出す。その瞳には涙を溜めていた。
「あの日君を守れる様に強くなるって誓ったのに、ちっとも強くなんてなってなかった。だから5年も修行して今度こそ君を守れるって思ったのに、いざここに来ると全身から冷や汗が止まらない。足がすくんで動けないんだ。また死ぬんじゃ無いかって…また虫ケラみたいに吹き飛ばされるんじゃ無いかってそう思っただけでもう逃げ出したくなるんだッ!!でも!!逃げ出すなんて無理だ!沢山の人が僕が逃げて死ぬなんて!!もう嫌なんだ…こわい……僕はグリオスがこわいんだ。分かってるんだ。あんなに見栄を張って僕が守るだなんて言っておいてそんなのダサいってカッコ悪いだなんてことは「ダサくもカッコ悪くも無いよ」
いつの間にか涙が溢れ出ていたユイトの目を見てゆっくりと諭す様に優しく話す。
「あなたは《英雄》のまえに、ただの一人の14歳の男の子なんだよ?怖かったら逃げたくなるなんて当たり前じゃ無い?それに私はあなたがどれだけ落ちこぼれでも、沢山の人を傷つけても幻滅なんてしない。だから今日は気が済むまでたくさんお話しをしようね。」




