綺麗な夜
和神教徒…あまり良いとは言えない噂話の絶えないそんな宗教がまさかリッターに宣戦布告をするとは。
アサはポケットから、銀色の指輪を人差し指に入れ、トラオムに呪文を唱える。
『──────ハイウィンドッ!』
より早くより鋭いカマイタチがトラオムに向かったが、それでもなおトラオムの首には届かない。
『エレキショット!』
「その歳でそこまでの魔力操作…敵ながらすごいと思います。ですが…負けられません!」
「───────そいつはどうもッ!こいつも、褒めてくれよッ」
『トゥレーラ!!』
その瞬間当たりが白く輝きローズやユイト、アイなど見知った人達が、私を囲む様に円になっていた
「よくやったなアサ流石は俺の弟子だな!」
違う
「ありがとうアサ君がいて助かったよ!」
違う
「いつも助かってるよ!大好き!」
違う
「ありがとう「ありがとう「ありがとう「ありがとう「ありがとう「ありがとう「ありがとう「ありがとう「ありが」「違うッ!私はこんな幻術に負けない!」
「まさかあの指輪に術ををかけていたか…!」
いくら他の2人にリソースの大半を使っているとはいえ、まさか自傷の痛みだけで、気を取り戻すか…これはもう幻術は使っても、魔力の無駄になるだけだな。
「───────私は託されたんですッ!」
なんとか事前に仕込んでおいた指輪からナイフを指に突き刺す事で、気を取り戻すことが出来た。だが問題は彼に私の攻撃が、通じていないことだった。
「幻術だけが僕の攻撃じゃ無いことくらいわかりきっているだろッ!!」
さっきの攻撃でやつは近距離技を持っていない事はわかっている。だから一気に距離を詰めて終わらせる!
『雷豪ッ!!』
それは光り輝く雷の様な槍を作り出し、それを左手で持ちながらアサ目掛けて突撃してきた。
やるしか無い!今ここで!
『───────風来舵木ッ!!』
風を纏った魔力は右手と左足に集中し、風を切り裂き、トラオムの右胸を引き裂いた。それはトラオムの雷豪よりも早く、鋭かった。
「───────騙しやがったな…クソがッ…」
そう言い残しながら、トラオムはアサの胸の中で冷たくなっていった。
「誰も近距離技が無いなんて、一言も言っていないじゃないですか。…まぁこれをやると反動で使った手足が痺れるからあまり実用性はないのですが。…」
あぁこんなにも綺麗で静かな夜だったんですね。




