繁栄の終わりを告げる者
人と神の争いは数で勝る人の勝ちであるとされていたが、いざ火蓋を切ると圧倒武力で数で勝る人を神々は次々と殲滅し、もはや無双と言う言葉すら生ぬるいほどに勝ち星を積んでいた。順風という他ない神々はさらに勢いをつけるため、我々の勝利をより強固により絶対的なものへとするべくある兵器を作り出した。それが《魔》である。その全てを作り出し、それらの王として記念すべき世界初にして混沌の目、最悪の王《魔王》を作り出した。今ではその方法などは分からないがおそらく戦場に散った何億の命と憎悪を集約したのだろう。魔王は生まれた瞬間に付近の命を枯らし、一度に約数十億体ほど魔を作り出し、数億と居た兵士や数十億と居た神々を蹴散らし、人にもその刃を付けた。人側の犠牲が数十億に及んだ時、つまり総人口が約5億を切った頃ようやく人と神は一時停戦し、神側兵士残り約百万人、人側兵士の残り約5000万人、神と人の王を合わせて約5100万で、数十億体はいた魔と圧倒的力を持った魔王に対し絶滅戦争を仕掛けた。魔を兵士達が抑えている間に魔王と二人の王は戦い、隙を作りその間に封印。人類は絶滅を賭けた戦争に見事打ち勝ったのだ。その後の争いも王達は争いの中で芽生えた友情を信じ、先代から続く戦争をも終わらせた。彼らは人類を信じ三大魔獣と三大魔道具を与えこの世界を去った。これは二人の王の戦い…神話の全用である。
魔王…人類を5億近くまで減らした脅威の存在…当時居たとされる人類は約64億人だった。それが5億まで…今いるとされる人類は32億人。元々は約73億人も居たのにそれが半分以上も……これ以上はやらせない…
その時ユイトのいる部屋のドアが開く
「あら?まだ起きていたのユイト…」
「なんだか眠れなくて…ところでそれは」
「えぇ『誓いの指輪』よ」
ミモザは強まった指輪の力に着いて説明した。
《ヤタガラス》は飛行速度が大きく上昇
《ウミヘビ》は威力向上、複数回の発射が可能に
《ヤマタノオロチ》はエクスカリバーとエクスアップの合体、大剣化が可能に
更なる力を得た指輪をユイトはそっと指に入れる。そしてユイトはミモザに一つ質問する。
「ありがとうございますミモザさん……いやアイ」
「───────!!何を言っているの?ユイト…私はミモザよ?」
「きっかけは2度あった…一つ目は初めてミモザの名を読んだ時…あの時一瞬寂しそうな顔をしていた気がした…アイによく似た容姿やお揃いのペンダントをミモザが持っていたのも疑問に思ったが、その時はまだ特に気にはしていなかった…」
「──────二つ目は?」
ユイトは冷静に言葉を返す。
「今……なんだか魔術師のような魔力の波長へと変化していたから分からなかったけど今確信に至った。波長がアイとほとんど一緒だ」
ミモザは目を逸らし、近くにある花瓶に入った花…《ミモザ》を見つめる。いつの間にか現れていたモンサーがミモザに問いかける。話は俺からするか?と。だが、ミモザは首を横に振りゆっくりと話し始めた。
「正解よユイト…私は…私はミモザじゃない。私はアイ…あの日死ぬべきだったのに醜く生き延びた私」
「生きることは醜くない…死ぬことが正しいなんてそんな事」
「私は死ぬべきだった!私のせいで多くの人が死に、目の前でユイトを…魔王に!!だから歴史を変えた…何回も何回も何回も何回も何回も何回もッ!!!!私を殺して、そのたびにユイトは長く生きて、それでもユイトは魔王に挑んで必ず殺されて!勝てないって伝えても必ずあなたは魔王に挑む!私はあなたに生きていて欲しいだけなの!!だから…ね?もう魔王になんて挑まないで隠れましょ?勝てないのあなたは…必ず殺されるの。だからほら私達なら絶対に逃げ切れる場所を知っている。だから」
「それは出来ない」
「ユイト…英雄としての役割なら俺が請け負う。きちんと皆の前で死んでユイトを世界から消してやるからだから頼む死にに行かないでくれ俺はあんたに助けられて今も生きている。だからこそ俺はあなたに生きていて欲しいんだ」
「英雄とかそんなの関係ない。これは俺の意思なんだ。勝算も…2割くらいならある。だから大丈夫今度は死なないよ」
それを聞いたミモザは一気に距離を詰めユイトを気絶させようとするが、ユイトは避け再び言葉を発する。
「それに…きっともう手遅れなんだ」
「えっ」
ミモザの言葉を最後にしばらくの間沈黙が辺りを支配した。




