目的は死
アサは国立図書館にて神話時代の本を読み漁る。神話時代のさらに『魔王』についてだった。だが、そのどれにもそれらしい情報はなかった。そのまま日は落ち、深夜となった。月明かりが窓に差し込み、5文字を照らす。
『目的はない』
文字の続きにはこう書いてあった。
『我々が虫を嫌悪し、意識的に殺すのと同じ感覚なのでは?と私は仮説を立てる。だが私は魔王をみたわけじゃない。被害者の証言や王様達の話を聞いてそう思っただけだ。どのみち遠い未来に奴は必ず蘇る。その未来には魔王をどうにかする力が無いかもしれない。だからこそ未来に魔王を打ち取る力として三種の魔道具を託す。奴は完全なる上位種である。作戦は常に後手に回るであろうが、どうか守り抜いて欲しい。我々が守ってきたこの大地を』
本はここで終わっている。
「三種の魔道具はきっと三大魔道具のことだよね」
「わっ!いっいつからいたんですか?ハルマさん」
「この本を読み始めくらいに入ってきたよ。読んでも返事がないから俺も読んでた…これつまりは作戦は後手で考えろって事でしょ?作戦って言わないじゃんそれ…作戦ってのは先手でしょ?」
「──────あなたは片付けをする時どこから片付けますか?」
アサは少し考えたのちハルマにそう問いかける。
「一番ごちゃごちゃしたとこから……!!」
「魔王が人を殺すのを片付けと同一であると…策を弄さずとも容易く捻り潰せると考えているなら次に人が多いここタイテンにジェノスローターを打ってくるのでは?」
「─────確かに…そう考えても不思議じゃない。ならあとはどうやってジェノスローターを防ぐかだな」
その時勢いよくドアが蹴破られる。
「いたッ!アサ!!」
ガロンは嬉々としてそれを持って近寄る。
「ガロンさんそれは?」
「本当はもっと早くに持ってくればよかったんだが、こいつをデカく出来る加工屋がなかなか見つからなかったんだ。コイツには《魔を跳ね返す》って術が組み込まれた布だ!そんな術だからもちろんデメリットとして跳ね返すには”一人”で受け止めて返さなきゃいけねぇってのはあるが…コイツを使えばあのジェノスローターも跳ね返せる!!」
「一人で跳ね返すってジェノスローターがどれだけの範囲と勢いなのか…触れただけで一瞬にして消し飛ぶほどに圧縮された魔力を知らないとは言わせません。実際に試したわけじゃないのに出来るといい切るのはあまりにも急ぎすぎです。仮にもその魔道具がジェノスローターに耐えられ、跳ね返すことが出来たとしてもそれを一人で実行できる人間は存在しません」
「人なら…ね?ここにはバケモノがいるんだぜ?俺なら…やれる…出来るさバケモノなんだから」
「────あなたはバケモノなんかじゃないです。あなたは人です。仮にあなたなら出来るとしても仲間としてそれを許すはずが無いじゃないですか!」
「もうそれくらいしか方法はないだろ……頼む俺にやらせてくれ」
「認めたくはないけど正直あれをどうにかしないとまず戦いにならないぜ?こっちにある一番火力の出るのはオータスの全力の一撃。だが、オータスは作戦で魔王との一騎打ちが前提でこっちの援護はまず無理だ。次点でユイトの《ウミヘビ》『ライナリ』だろ?だが、それを放てばユイトは足を無くす。戦地を賭け、ピンチのところに駆けつけ戦場をひっくり返す、オータスの替え玉の二つの役割が上手くこなせなくなるからそれも出来ない。その他じゃまず話にならない。ならもうあれの高密度魔力を利用して逆にぶつけるしかなくないか?」
「──────分かってます…でもそれはガロンに死んでこいって言ってるようなものじゃないですか…だから…だから日の出まで考えさせてください。それまでに決めます…」




