絶滅戦争
「魔王!?それは正しい情報なのか!?」
ガロンの声にタイテンの兵士は魔力の特徴が一致していることと、魔王付近の空の色が変わる現象がホーリーに起きていることを端的に説明する。ユイトは顔の色を変え一目散にホーリーへと向かう。皆の静止を一切聞かずに空を飛ぶユイトの瞳には失うことへの恐怖で埋め尽くされていた。
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魔王は右腕をゆっくりと空へ向け魔力を放出する。魔力が地面に落ちるとそれは魔の軍勢へと変わる。
「一瞬で魔物を…それだけじゃ無い魔族も…魔を生み出す《魔王》の力」
魔王は空島からアサ達の目の前に降りるとその顔をよく見つめる。
「半神と人が同じ場所にいる……神は誇りすら捨て人と交わる未来を選んだようだな…まぁよい神も生き残っているなら人も神も滅ぼすのみ」
魔王は左手をアサ達に向け魔力を放出すると真っ黒い色をした魔力を打ち出した。その衝撃波の範囲から逃れることが出来ず3人は塵となるはずだった。
『耐返者ッ!!』
突然一人の男がアサ達の眼前に現れ、衝撃波をその身に受け止めると魔王に向けて数倍にまで威力が上がった衝撃波を送り返した。
「─────!!ほう…まさか俺の魔力を受け止めるだけで無く跳ね返し俺に傷をつける者がまだこの世界にいたとはな。名を名乗れ記憶に残しておきたい」
魔王は送り返された衝撃波を容易く弾くがその際あまりの威力によって左頬に小さな傷が生まれていた。そこから垂れる血を拭い男に名を尋ねる。
「ファル……ファル・デイディットッ!!俺の上司がこの人達を呼んでいるんでね…死なせるわけにはいかないんだよ」
「ファル……今までも『耐返者・溜放者』を使うものはいたがここまでの威力、そして俺の魔力量を軽々と耐える肉体、俺の総魔力量より圧倒的に多い魔力…死なせるには惜しい…どうだ?俺の下に付かないか?俺の下につけば永遠の命と全ての欲が叶うぞ?」
「あいにく俺はアサヒさんの下にいるんで無理な相談ですね」
「そうか…それは残念だッ!!!」
「あんたらは早く逃げろッ!!!もうそろユイトが来る!それまで逃げ切れッ!!」
魔王は右手から2メートル以上はある巨大な大剣を作り出し柄を握り振う。その一撃をファルを魔力を放出し相殺する。ヨア達は風来舵木以上の術を何度も放った反動により体が動かなくなったアサを連れ遠くへと逃げる。
「やはりその魔力…ファルは《無魔》のイニミタブリーを持っているのだな?先ほどの魔力放出時に魔力量が変わらなかったことから分かった」
魔王はそう言うと左手から強力な衝撃波を繰り出し、ファルは吹き飛ばされる。
これが魔王…!言ってもいないのに勝手にこっちの手札を理解しやがる…流石は神と人の神話時代の争いを終わらせ、神と人VS魔へと戦争の矢印を変えた究極兵器…!
「合ってますよ…流石神話時代に神を絶滅、残り数名にまで減らし、人も絶滅一歩手前まで追い詰めたバケモノなだけはある」
ファルは額から溢れる冷や汗を拭い力強く魔王を睨む。両者目の前をゆっくりと落ちる木の葉が地面に落ちた瞬間攻撃を始めた




