家族
魔人からの激しい攻撃の嵐を受け流しながら二人は魔人に強力な一撃を加えた。が魔人を仕留めることはできず、反撃を食らいそうになるが、間一髪ヨアのサポートによりかわすことが出来た。
「ヨア…どこまで離れれば入れ替えれる?」
「2メートルくらいだ…どうするつもりだ?」
「先生が隙を作り、その隙に私が魔力を込めた石を投げヨアがそれと私を入れ替える。その勢いでアイツを貫く!」
「奴が小石に気づけば危険。だが魔人は人にしか興味を示さない。石程度なら無視はするかもしれない。賭けにしては分が悪いと言いたいが…それくらいしか突破口はないか。アサ、ヨア…命に変えても隙を作る!頼んだぞッ!!」
ローズは津波のように襲いかかる圧倒的な暴力を受け止め、全力で一瞬の隙を作る。瞬間アサがとてつもない速さで小石を投げる。小石が奴から2メートルに到達した時、奴は異変を察したのかバリアを展開した。
「なに!?」
ローズはバリアによって吹き飛ばされながら思考を巡らせる。
小石に目を向けた?魔人が?入れ替えを懸念して?そこまでの知能は魔人に無いはず…俺を取り払うためにバリアを?だが奴は結界術を無効化する魔力を周囲に展開している。そこまでの知能があることは予測出来たはず。どうする?
「逃げろッ!!アサッ!!」
そんなことみんな分かってる!どうやればアサを助け出せる?走る?飛ぶ?無理だ距離が開きすぎてる。
アイ…何度も何度もごめん…また借りるよッ!!コイツを倒すためにッ!!
『風来海月ッ!!』
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
バギッ
風来海月とバリアの押し合いは数秒間に渡り行われたがバリアは砕かれ、そのまま魔人の上半身を消し飛ばした。
「うそだろ?力でゴリ押した…」
「ふふふ…はっはっはっ!まさか力でねじ伏せるか!予想を裏切られたのは久々だ!」
アイ…ごめんね。まだまだ安らかには寝かせて上げられない…これからも借りるね…
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ここはどこだ?…ここはタイテンの俺の部屋?なんで俺は確か…そうか…倒れて…
ユイトは重い体を動かし、窓を開ける。肌寒い風がどっと押し寄せる。まるで冬が来たことをユイトに告げるように。ユイトは少し考え、自分が守った国をその目で強く見つめる。
ガシャンッ!
ドアが開く音がユイトの耳に届くと同時に食器が割れる音が部屋中に響き渡る。
「えっ?……えっ!ユイト…ユイトッ!」
ユイトが割れた食器の方に目をやると切られたフルーツも破片の中に混じっていたことからお見舞いにフルーツを持ってきたことを察する。ユイトはヤヨイに少し強めに腕を引っ張りながらミズナ達の元へと連れて行く。そこからはいろいろなことをユイトは聞かされた。魔王の復活や被害状況など…今世界が置かれている状況を事細かに話された。そして最後に予想通りの言葉をミズナから言われた。
「ユイト様目覚めてすぐにこんなことを言うのはおかしな話なのだけど……世界は英雄を待っているわ…お願い世界のために戦って」
「──────そのための英雄ですよ」




