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人神奇譚  作者: いかのてんぷら
第七章 英雄記
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天登りし友との一撃

「ついに頭が壊れたのか!?触れられた瞬間バラバラ死体に変わるんだぜ!」 

 

奴の手がアサに触れる瞬間アサは奴の足を踏みつけその場から動けないように固定する。 


やはりコイツイカれたな!今一番対処しなきゃいけないのは足じゃあなく手だってのによ! 


『防風壁ッ!!』 


嵐のような風がヒエンの両手をアサから引き離す。 

 

アップサイクロンじゃあヒエンごと宙に浮く。それじゃあ次に繋がらない。だから足を固定し防風壁で両手を弾く、ガラ空きの胴に今放てる全力の一撃を叩き込むッ!!

 

風来舵木フウライカジキッ!!』 

  

アサが今残っている魔力全てを注いだ風来舵木でも奴の体貫くには力が足りず徐々に速度を落としていく。 

アイ…私に力を貸してッ!!! 


その瞬間アサは自身の背中を誰かが強く押すような感覚を感じる。

 

風来海月フウライクラゲッ!!』 


勢いを増したアサの手がヒエンの上半身を消し飛ばし、その勢いのまま雲に穴を開けた。

 

「はぁはぁはぁ…ありがとうアイ…あなたのおかげで私は勝てた…」 


「アサッ!そっちは大丈夫か!?」 


「うんなんとか…」 


「そうかなら良かった…」 


互いの無事を確認し合ったその瞬間二人の目は彼を見つめ固まる。上半身が消えてなくなったもう動くはずのないヒエンの体が動き、立ち上がった。真紅のコアを作り出すと、それを守るように魔力で出来た真っ黒な上半身が姿を表す。 


「あれは……″魔人″」  

 

闇をも飲み込む強い憎しみが奴を生き返らせる。知性を捨てて。奴は威嚇なのか地響きが起こるほどの咆哮をすると斬撃を飛ばし攻撃をし始めた。アサは咄嗟に強風を巻き起こし斬撃の向きを逸らした。 


魔人化により、遠距離から斬撃を飛ばせるのか…ただ不可視じゃない。白とは言え色があるだけまだ助かる。 


「アサ…飛ぶ斬撃に気をつけながら赤いコアを狙うぞ!」 


「ヨアは私のサポートを!」 


「了解ッ!」 


アサは次々に繰り出される斬撃を交わしながら奴の腹部に風来舵木を打ち込もうとする。だがあと少しのところで謎の薄紫色のバリアによりアサは吹き飛ばされた。  

 

「大丈夫か!アサ!」 


「えぇなんとか…あの魔人さっきまで無かったはずの技を…」 


自身の周囲に球体のバリアを張る術…あのバリアをどうにかしないと攻撃が通らない…


「アサ来るぞ!」 


魔人は両手を異常な速度で伸ばし二人を殴り飛ばす。魔人はガードの崩れたヨアの方へ向かう。ヨアは水燐斬・空回をすぐさま発動、無数の水の刃で翻弄しつつ自身は距離を取り体制を立て直す。 

 

「───────ヨアッ!『水燐斬・空回』をもう一度!その後に私を!」 


「了解!」 


ヨアは再び無数の水の刃を魔人に向けて飛ばす。その内の一個が魔人の腹部を切り付けるその瞬間水の刃とアサの位置を入れ替え、すでに風来舵木を発動していたアサの左手が魔人の腹部を貫通する。 


「コアが…ない!」 


アサの腕を腹部から生やした触手でガッシリとつかむと逃げることができないアサに向けて口に溜めた大量の魔力を一気に放つ。 


クソクソクソッ!アイツの触手から結界術を妨害する魔力が出ているせいで入れ替えが出来ねぇ!無理やりやればアサにダメージが行く可能性がある!アイツ学習しやがったのか!クソッ!届かねぇ!助けられない! 


星の模様が刻まれた片腕の剣士は、誰の目にも止まらない速さでバリアごと魔人を切り裂き、アサを一瞬にして助け出した。 


「全く…油断しすぎだぞ二人とも」 


「ローズさん…」  


「ローズ先生…」 


「状況は?」 


「敵襲を受け、そいつらを倒したらそのうちの一人が魔人化し、交戦中。敵は可視化の飛ぶ斬撃を放つ術と触れると触れた物体を切り刻む術、自身の周りに球体のバリアを張る術、俺の入れ替えも不可能にする結界術妨害する魔力を持っています。さらに奴はおそらく受けた攻撃に対してなんらかの耐性を持っているはず」 


「分かった。弱点の位置はわかっているか?」 


「おそらく腹部のコアだと」 


「あぁだがコアは奴の体内を自由に移動するみたいだな。ヨアは後方支援、俺とアサでコアを狙う。勝ちに行くぞッ!!」 


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