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人神奇譚  作者: いかのてんぷら
第六章 君は彼を理解する
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困惑の大地

「ガアァァァァァァァッ!!」 

 

地響きのように鳴り響く咆哮と共に暴走したユイトは足に力を込め軽いジャンプで一気にオクトレスの眼前にまで近づきそのまま顔を殴り飛ばす。右手から鎖状に作られた結晶を生成、振り回しながらその先端をオクトレスの体に巻き付けると、とてつもない速さで回転、鎖を消失させオクトレスを天高くまで吹き飛ばす。 


「ウオォォォォォォォォォォォッ!!!!」 


再び気高い雄叫びを放つユイトの背中から黒い翼が生えるが、以前のような美しい毛並みだけでなく、新たに紫の結晶が所々に生えている。力強く羽ばたき、天を舞い一瞬にして宙にいるオクトレスの元へと追いつき、結晶化した拳による一撃で響く轟音は国土を超え、彼方のタイテンにまで響いた。 


なんなんだあれは!人?魔族?いや魔族と言うには呪いの厚みが違いすぎる!これは…我らと同じかそれ以上!何という業を積み上げたのか?この男は!これではまるであの男のイニミタブリー…《魔食》を使ったかのよう……


「──────そう言うことか……してそのよう…まさか知らずに《魔食》を使っていたと見れる…愚かだ!実に滑稽!自ら滅びの道へと突き進むとはな!ユイト!」 


再び交わる拳の衝突を制するのはユイト…その圧倒的な力の前にあの三大魔獣の一角であるオクトレスですら対抗できず、一方的に打ちのめされる。その時ダムが決壊したかのように突然オクトレスは元のサイズにまで戻っていく。自身の数十倍ほどある巨体なオクトレスによる一撃は国の地図を書き換えないといけないほどであったが、それを軽々と受け止めたユイトはチャンスと言わんばかりに足に力を込め、そのまま引きちぎる。千切られた怒りにより激化する攻撃を引きちぎった足を使い、防ぎ無力化する。ユイトは引きちぎった足をオクトレスの頭に叩きつけ、潰れた所に追い討ちをかけるように両手から奴に向け、天候が一気に快晴となってしまうほどの魔力を解き放った。オクトレスが消滅していくその時吸収されていた人々が奴の体内から姿を現し始める。


「ユ…イト?」 


瀕死のアイは紫の結晶に身を包んだユイトを見つめ、困惑の声をこぼす。だが意識のないユイトにはその音は響かず、無数の紫の結晶を宙に作り出し、嵐のような回転を始める。一般人は触れただけでその部分が削り取られ、耐性の持つものですら耐えることはできずにその花を散らしていく。だだ、万全の彼らは嵐を耐え抜き、終わらせようとする。 


「動ける者に次ぐ!ユイトは…第七隊隊長《英雄》ユイトは敵の術により錯乱している!全力で止めるんだ!」 


アサは理解不能な状況で思考をやめ、咄嗟の判断でユイトが殺されない最善の策を考え、次の行動を伝えた。

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