醜い鐘
「このお店のオルゴールはこの国の中心にある王城ティルキア城の頂上にある鐘の音がなるんですってなんでもその音を聞くと心が安らぐんだとか」
「へーすごいねそれ」
「確かに最近ユイトはかなり疲れている様ですしいいプレゼントだと思います」
正直ヤヨイのプレゼント探しに一番時間がかかると思っていたからかなり早く終わりそうだなー帰りにみんなでパンケーキを食べてから宿に戻ろうかなぁ…さっきの魔力も気になるし
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「美味しかったですねさてそろそろ帰りますか」
「あー私少し寄りたいところがあるから先に宿に戻っていて」
太陽が落ち代わりに月が上る頃大きなパンケーキを食べ終わったアイ達は宿に帰ろうとしていたが、アイは昼に抱いた違和感を拭うため皆と離れ確認に向かった。
やっぱり…ここからすごい魔力…いや”何かがある”魔力じゃない?
近づけば近づくほどそれがなんなのかアイにはわからなくなっていった。建物の間を縫う様に路地を走るとようやくそれを見つけることができた。
「これは……メモ??」
そこにあったのは小さな紙の箸切れだった。まるで主婦がまとめた買い物メモの様だったが、書かれた内容とそれが発する魔力があまりにもアイの持つ魔力に酷似していたことでアイはそれが誰が何のためにこれを残したのか余計に分からなくなっていた。
「ここに書いてあることが本当なら…何故それを知って…誰かに試したの…?私によく似た魔力…”私が誰かに試した?”いや…そうなら私はここに居ないはず…」
アイの思考は巡りに巡りある答えに辿り着いた。
「私を2回助けた人……」
一度目はユイトが気絶したあとアサヒから私を守ってくれた時…2回目は多分あの時…
アイはアサヒのケーオフローガとテラッサがぶつかり炎に飲まれる瞬間”一瞬にして別の場所に移動していた”事を思い出した
あの時微かにあの人の匂いがした…でもどうやって…
「アイちゃーん!どこにいるのー!」
気がつけばその場で1時間ほど立ち尽くしていたらしい記憶はない。考えることに全神経を費やしていたから
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アイは昨晩みたあのメモのせいであまり寝付けず、朝日が登ったと同時に宿を抜け散歩に出ていた。白い町並みが朝日に照らされて、美しい景色があたりに広がっている。もう時期冬になるころだからか朝は肌寒く、吐いた息が白く変わっていた。そんな時目の前に目の前に全てを奪われた人の瞳をした少年がゆっくりと歩いてきた。そんな時少年が凄い勢いで転び地面に頭を強打した。
「大丈夫ですか!」
羽織のような黒い服にまで垂れてくるほど頭から血を流していたから、アイは急いで駆け寄り額の傷を治す。
「あの…ありがとうございます」
「いえいえ…あの…大丈夫ですか?」
「えっ」
14歳くらいの少年はアイの言葉を最初は理解出来ていなかったが、次第に理解しゆっくりと話し始めた。
「俺の家族はある男に皆殺しにされたんです…そいつは多くの人を助けるために、少数の犠牲は必要だったと…そんなの理不尽じゃないですか…だから俺もアイツの大切な物を奪おうと思ったんです…」
「復讐…」
「邪魔…しないでくださいね…”第七隊”所属アイさん」
その時まるで人を鐘に叩きつけたような鈍い音が国中に響き渡った。




