表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】私ですか?聖女やらせてもらってますけど……え?そちらが本物の聖女だから私は用済みですか?  作者: 瑞多美音
杖とポーション 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/21

 

 ガタガタ……ガッ…………ガタガタ……ガッ!……


 うん、休憩前よりは確実に揺れてるけど……それを口に出すような愚かなことはしない。

 だって、さっきその愚かなことをしてお仕置きされてるの目撃しちゃったもん……ぶるぶる。

 そうだ、きっと道が険しくなったんだと思っておこう。決して御者のせいじゃないったら!


 ポーションを作るのも結界石を作るのもこれくらいならなんとかなるさ……たぶん。


 早速、荷台でポーションを作ることにした。

 聖女のときに愛用していたクッションに座る……おぉっ、ちょっと揺れが軽減された!お尻へのダメージが軽くなりそうだ。


 「じゃ、ちょっとポーション作ってみるからー!何かあったら声かけてね」

 「はーい」

 

 話したら舌を噛みそうになった……道が険しいときはなるべく話さなくてすむように気をつけよう。



 ポーションの作り方は何種類かある。


 まずひとつめは……

 何種類かの薬草やきれいな水を鍋に入れ、火にかけ魔力を込めつつ混ぜて作るもの。

 これは魔力制御さえうまくいけば比較的誰にでも作れる。

 けど、効果は低いし売り物にはならず、ギルドでも買取はしていない。あくまでも身内で消費するくらいが精々かな。

 ただ、たくさんの種類の薬草を集めたり、失敗する可能性を考えたら買った方がいいってなるから、この作り方をしているのはなかなかポーションが手に入りづらい集落や村の人たちらしい。


 ふたつめ……

 錬金釜に数種類の薬草やきれいな水をいれて火にかけて魔力を込めつつ混ぜて作るもの。

 最初と同じような作り方だけど、こちらは錬金のスキル持ちでないと駄目らしい。

 スキルを使うから、同じ薬草を使ってもひとつめより効果の高いものが作れるし、売り物レベル。

 街で1番出回っているのが錬金術師の作ったポーションかな。



 そして、最後に私の作り方。

 まず、ポーション用調合セットを用意して……中身はすり鉢、すりこぎ棒、器、木べら、匙、漏斗。


 昨日買った大きめの桶の中の水を器に移す……結構いっぱいになったけどギリギリセーフ!


 「ふぅ……」


 そーっと器を桶のなかに設置。こぼれてもこれで安心。


 「まずは体力ポーションから作るかぁ」


 それぞれ杖ありと杖なしで作ってみるのがいいかな……


 「まずはいつも通りでいいか……」


 通称:体力草を水が入った器に入れ浄化する。あれ、水の量に合わせ薬草をいれたから結構な量になりそう……


 そのまま魔力を込めつつ木べらで混ぜる。するとだんだんと溶けてなくなりピカッと光れば完成!

 他の作り方と違って圧倒的に薬草が少なくて済むのが便利だよね。中級とかになるとまた精霊石を砕いていれたり妖精の蜜といわれる花にたまる蜜をいれたりするんだけど……初級ポーションなら体力草と水でできるから本当に簡単。


 「よし、できた!」


 瓶に移して封をすれば出来上がり。水魔法がもっとうまく使えれば漏斗で移しかえなくても水魔法を駆使して瓶詰めできるらしい。何度も練習してみたけどポーションが飛び散ってもったいないので今は移しかえるのは漏斗を使ってる……練習は続けているのでいつかできるようになりたいな。

 お母さんなんか余裕でやっちゃうんだよね……



 あ、必ずしも浄化が必要がなわけじゃなくて、私はなんとなくきれいになーれ!と思ってやってる。どっちにしろきれいな水でないといけないし、一緒に浄化してしまえば簡単だからね。

 あと、薬草をすりつぶすことで効果をあげることが出来るけど……私の場合やり方が悪いのかすりつぶしてもあんまり変わらない。だからほとんど使ってない。

 あとはポーションの効果をあげることのできる薄ピンクの花の通称:幸運花をいれることもあるけど、まず見つけられた幸運だという意味から通称がついてるから入れることはほとんどないかな。


 みんなに作り方を説明してもそんな簡単に作れるはずないって信じてもらえないんだけど、これで作れちゃうんだよね。

 他の聖女たちも似たような作り方だと思う。だって候補者のときに習ったのを自分がやりやすくアレンジしてるだけだからね。

 でも火を使って煮るという必要がないから揺れる馬車の中でもできるんだよね。大きめの桶を買ったから、瓶に入れるときこぼれても安心。

 同じように魔力ポーションも比較用に作った。


 「次は杖ありでやってみるかー!」


とりあえず体力ポーションを1本分作ってみたけど……やっぱこの杖、規格外すぎるよ。

 だって、まず浄化の段階で明らかに水や薬草の様子が違うし……片手に杖を持って魔力を込めたんだけど、木べらで混ぜる時間もいつもの半分以下。完成の目安の光もピカッでなくペカーッて眩しいくらいだった。

 出来上がったポーションは杖不使用のものよりも透き通っているしキラキラ度も違う……


 「とりあえずあとで、ふたりに見てもらおうかな」


 結局……

 杖不使用の初級体力ポーション8本、初級魔力ポーション4本。

 杖を使用した初級体力ポーション5本、初級魔力ポーション5本。

 杖を使用し、さらにスウィの実を混ぜた初級体力ポーション10本、初級魔力ポーション10本を荷馬車の揺れも忘れて集中してつくったところで荷馬車が止まった。

 ……ん?何か起きたのかな?

 外をのぞきたい衝動にかられたけど、声がかかるまでは中でじっとしておこう。素人が下手に行動すると迷惑かも……


 「ティア、休憩だぞー!」

 「あ、はーい」

 「一応、結界石も準備してねー!お昼よー!」

 「わかった」


 なんだ、お昼休憩だったのかぁー。無駄に心配してしまった。

 というか、いつのまにそんなに時間が経っていたんだろう……そういえば同じ姿勢だったからか身体がこわばってるなー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ