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VSヨトゥンスケルトン

はい、タイトルでネタバレですが(笑)

今回は魔王城の中ボスが出てきます。

シンヤがモンスター4匹使ってボコボコにした奴ですね。


 辿り着いた魔王城は様式こそ人間の城に近いものの、大きさは桁違いに大きかった、誰がどうやって作ったのかは分からないが明らかに人工物だ。

 ところどころ朽ちてはいるが頑強な造りであることは見てとれる。突然崩れて生き埋めになるなんて事は無いだろう。



「この城、巨人族が作った太古の城だって言われてるんですよ」


「ほー…、こういうの見ると巨人て本当に居たんだにゃぁって思えてくるに」


「オマエラ、ナゼ、ツイテクル」


 レッドキャップは怪訝な顔で私達を見つめてくるが、もう敵意は無いようだ。



「行き先も目的も同じやに、まぁ、私はアサヒを殺す気はにゃあけど」


「ヌルイ、ソンナカクゴデ、カテルノカ」


「殺す気で行っても勝てにゃあと思うけどに。私は…一発でも殴ってアサヒの目を覚まさせてやりてゃぁだけやに」


「クカカ、ソウカ、オレハ、コロスキデイクガ、カテヌトフンデ、ミノガシタノカ」


「ごめんだけど、そうにゃね」


「イイダロウ、オレモ、イチゲキハ、クレテヤラネバ、キガスマンノダ」




 魔王城はとても静かだった、私はてっきり所狭しとモンスターが敷き詰められている光景を想定していただけに正直拍子抜けしていた。


 だが、遠目に大広間が見えた辺りでここはやはり魔王城なのだと思わせる様な強い気配を大広間の方から感じた、おそらくレッドキャップよりも強い敵が居る。

 と、なれば魔物使いの勇者の最終パーティーだろうか?いやいや、それは全部倒したはずだ、最後に残っていたゴーレムもアサヒが倒したと聞いている。

 しかし、何かが居る。私の直感スキルは当たるのだ。



「レッドキャップ、止まるに」


「オレニハ、アカボウ、トイウ、ナガアル。ホコリタカイ、ナダ」


「そっか、それはすまんに。…アカボウ、この先に強い奴が居るに。おそらく小魔王ではにゃあ…アカボウにとっても敵だと思うに」


「ソウカ、ソレデ?」



「ヒイリ、武器…出来れば手斧を出して欲しいにゃ、ある?」


「え?あ、ああ。そういうことですか。でも…大丈夫ですか?」


「今はそうしにゃあと勝てにゃあよ」


「んんー…分かりました。斧系統は揃えてますよ」



 ヒイリはティタンポケットから小振りな斧を取り出す、…が、それはすぐにヒイリの手を離れて落ち、床にヒビを入れた。


「やっぱり手斧サイズでも大地の魔術武装は僕には持てませんね」


 ティタンポケットに入っている間は重さは感じないが、出した途端に本来の重さになるらしい。私のフル装備もあんな小さなウエストポーチに入っちゃうんだから恐ろしい。



「アカボウ、この手斧を使って欲しいに」


 アカボウの手斧は私が破壊してしまった、今から戦う相手に素手では心許ない。


「クカカカカ!キョウトウシロト!ソウイウノカ!」


「じゃにゃあとアサヒに辿り着く前に……。私の直感スキルを信じて欲しいに」


「…イイダロウ」




 ヒイリは大広間の前で待機、アウラポッドは既に掛けてもらっている。


「3…2……1!行くにゃ!!」


 合図を送りアカボウと共に大広間へと突入する。…が、何も居ない。外から見ても何も居なかったが、中に突入してもやはり何も居なかった。

 ただでさえ大きな城の大広間は呆れる程に広い、円形状に広がり、直径は50メートルくらいはあるんじゃないだろうか。

 しかし隠れる様な場所も無いはずだ。いったいどこから気配を感じたのだろうか。


 その時、ふと頭上から強い悪寒を感じ、上を見上げる。それと同時に恐怖が込み上げた。


「アカボウ!上にゃ!左右に散るに!」


 大広間の天井に張り付いていたのは巨大な人骨、それは決して物言わぬ死骸では無い、虚ろな眼窪に僅かな光を灯しこちらを見ていた。


 そして、私達を確認するとその巨躯が頭上より降り注ぐ。

 間一髪…左右に散ってそれを避ける…つもりだった。


 巨大な骸骨は人の形のままでは無く、骨をパーツ毎に分けて雨の様に降って来たのだ。避ける場所などありはしない。

 咄嗟の事に防御も出来ず、私もアカボウも巨大な骨の直撃は免れない。

 ヒイリに掛けてもらったアウラポッドが防壁となるが、一瞬で効能を失い消滅する。




 骸骨のパーツは一ヶ所に集まり巨大な人骨が組まれていく。

 その大きさは優に10メートルは越えている。13…14…15?実際のサイズを測る事は出来ないが、大広間の天井に届きそうな程に巨大だった。



「アカボウ!無事!?」


「オウ、オレノ、シンパイナゾ、スルナ」


「心配にゃんはまだ戦えるかどうかだけにゃ!」


「クカカカカカカ!!イイナ!イイオンナダ!」


「私はもう売約済みにゃからね!」


「クカカカカ!ザンネン……ツギガクルゾ!」


「分かっとお!」



 骸骨の拳が機械的に振り上がると、こちらに向かって振り下ろしてくる。

 それは骨でありながら、まるで巨岩が降ってくる様な迫力だった。


「今度は油断してにゃあから……ネ!!」


 その拳に向かって戦斧のフルスイングをぶつけて跳ね返す。

 それと同時に私の戦斧も弾かれ手が痺れてしまった。


「にゃああ!?オンパロスと同等の質量持っとおにゃ!?」


 なんとか拳は凌いだが手がビリビリと痺れて手に力が入らない。


「マカセロ」


 その隙を付いてアカボウが骸骨の足元に滑り込み、足首の間接に手斧を叩き込む。

 骸骨は足首から先が外れてバランスを崩し膝を付く。

 それを好機と見るや、アカボウは骸骨の上を駆け上がって行ってしまった。


「待つにゃあ!」


 私には気付いていた、これは罠だと。

 しかしアカボウの走力は私に鉄靴を渡してなおも早く、私の指示が追い付かない。

 アカボウの周りに大きな骨が浮いている。それは湾曲した長細い肋骨。計4本。

 その4本が全てアカボウを狙っている。不安定な足場で避けれるものでは無い。


 私は戦斧の柄の先端を床に打ち付けて魔力を流した。


「引き寄せろぉ!オンパロス!」


 オンパロスの能力、引力。周辺の物は全てオンパロスに吸い寄せられる。

 もちろん骸骨は動かない、だが浮いている肋骨は話が別だ。

 4本の肋骨は全て私の方へと軌道を変える、ただ真っ直ぐに向かって来る骨、そんなものは絶好の的だ。


 鉄靴にも強く魔力を流すと、足下から力が流れ込んで来るのが分かる。…いける!


 体を大きく旋回させながら戦斧を順手に持ち換え、軸足で床を踏み砕く。回転する今の私は巨大な歯車だ、巻き込んだ肋骨を全て粉砕した。



「アカボウ!いっけぇ!!本体は頭蓋骨にゃあ!」


 肋骨を粉砕した時に骸骨の意識が頭部に向いたのを察知した。私の直感スキルはかなりズルいなと、自分でも思ってしまう。


「クカカカカ!ホレボレスルナ」


 骸骨に捕まっていたアカボウが頭蓋まで駆け上がり、手斧で痛烈な一撃を…、いや、一撃では砕けず何度も乱打する。その度に骸骨が暴れるがアカボウは決して落ちなかった。

 そしてとうとう頭蓋骨を砕くに至り、骸骨は完全に沈黙した。



 私とアカボウは高く手を上げる、まさかモンスターとハイタッチする日が来るなんて夢にも思わなかったが、正直悪い気はしなかった。



この骸骨の名前、おそらく本編では出てこないのでタイトルに使いました。

シンヤの時は雑に扱いましたが、本当は強いんですよ。

そしてこいつが復活してるという事は…。

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